労務行政研究所「改正労基法への企業の対応」調査結果
2010年1月号より抜粋
限度時間超の割増率を74%の企業は見直さない
平成22年度は既に大きな労働法の改正が予定され、新政権によるさらなる改革も予想されます。いまだ景気回復が危ぶまれる中、企業には適切な対応が求められます。中でも改正労働基準法への各社の対応が注目されますが、労務行政研究所が調査結果を公表しています。
4月の改正労基法への対応は
今年の法改正の目玉は、平成22年4月施行の労働基準法です。①残業が限度時間を超えた場合の割増賃金率の引き上げ、②残業が月60時間を超える場合の割増賃金率の引き上げ、③②の割増賃金に代わる休暇制度の導入、④時間単位の年休付与などが盛り込まれています。ただし、①③④は義務ではなく、②は中小企業に猶予措置が設けられたため、他社がどう対応するかが気になるところです。このほど公表された労務行政研究所の調査結果(調査対象:1000人以上規模含む349社)によると、「時間外労働の限度基準を超える割増率について、既に方針を決定している企業の74%は「見直さない」としています。
改正育児介護休業法の施行
改正育児介護休業法が平成21年7月1日に公布され、既に①企業名の公表や過料の創設など改正事項の一部が施行、平成22年4月からは②調停委員による調停制度の創設、交付日から1年以内(6月予定)に、③「短時間勤務制度・所定外労働免除の義務化」など残りが施行されます。③など一部の事項については中小企業に猶予措置が設けられましたが、「労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止」など、全ての企業で就業規則の見直しが必要です。
派遣法改正や最低賃金の行方は
その他、新政権は派遣法の見直しや最低賃金のいっそうの引き上げを予定しています。企業は、人件費コストの上昇を防ぐため、労働の効率性の改善を真剣に考える必要があります。
改正労基法―企業の対応(方針決定企業だけで見た場合)
○「時間外労働の限度基準」を超える割増率⇒「見直さない」74%
○「1カ月60時間」を超える割増率⇒「見直す」76%
○割増賃金の支払いに代えた「代替休暇」⇒「設けない」91%
○時間単位年休⇒「設けない」83%
「労政時報」第3762号/09.11.27より