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保険でどこまで弁償できる?(対物賠償篇)

保険で対象になる賠償責任とはどこまでなのか。
前回は「対人賠償」について、その範囲を考察してみました。

◎保険でどこまで弁償できる?(対人賠償篇)

今回は「対物賠償」について考えてみたいと思います。
「他人にケガをさせてしまった」ということが「対人賠償」なら、
「他人のものを壊してしまった」ということが「対物賠償」になります。

自動車事故に当てはめるとわかりやすいかもしれません。
車を運転していて、前の車に追突してしまった結果、
前の車を運転していた人がケガをしたので、
治療費を弁償しなければならない、というのが「対人賠償」です。
また、この追突の結果、前の車の後部バンパーが傷ついてしまい、
修理代を弁償しなければならない、というのが「対物賠償」になります。

一口に「他人のものを壊す」と言っても、
色々なケースが考えられるわけですが、
一般的に賠償責任保険で対象になるケースは
「物理的な損壊」が発生している場合です。

例えば、買い物に行った店先で手に取ったガラスのコップを
手を滑らせて割ってしまった、という場合などが考えられます。
「物理的な損壊」が発生している必要がある、ということは、
「物理的に壊れない」ものは、たとえどんなに価値のあるものであっても、
そしてそのものに損害を与えたとしても、保険上は対象にならないわけです。

例えば、著作権などは形が無いために、物理的な損壊を与えてしまう
ということはありません。
「著作権が破れたから、縫い合わせなければいけない」
などということはありえないわけです。
だからといって、無断使用などでその権利が侵害されれば、
権利侵害をした者は、著作権の所有者から賠償請求されてしまいます。

一般的な保険では、「権利侵害」は「対物賠償(事故)」に該当しないため、
保険に入っていても、保険での解決は図れないわけです。
(一般的な賠償責任保険の特約という形で、こうした「権利侵害」にも
対応できる場合があります。その取り扱いは各保険会社によって異なります。)

こうした「形の無いもの」の中で、よく質問を受けるのが
コンピュータなどの「ソフトウェア」についてです。

「ソフトウェアも形の無いものだから、保険では対象にならないのか・・・。
でも結構、高いものだから他人のせいでソフトウェアがダメになって、
データが消失したら困る・・・。」
と考える方は多いのではないでしょうか。

ソフトウェアについては、次のようなケースの場合、
「物理的損壊」と認められます。

ある会社の事務所に設置されているエアコンの点検に訪れた際、
エアコンが天井についているので、その会社の人に断って、
デスクの上に乗って点検していたところ、
上ばかり見ていて、うっかりデスク上のパソコンを踏み倒してしまった。
結果、パソコンのモニターの液晶画面が割れてしまい、
合わせて内蔵されていたソフトウェアも機能しなくなってしまった・・・。

この場合、割れてしまった液晶画面は当然ながら物理的損壊を被っています。
一方、ソフトウェアについても、再インストールしなければならない、
と言う意味では(今までとは同じように使えない、と言う意味では)、
「物理的損壊」があった、と認められます。

少しややこしいかもしれませんが、先ほどの著作権との違いは、
著作権は侵害されても、その著作権が「使いものにならなくなった」
わけではありません。
ところが、ソフトウェアの方は使いものにならなくなっています。
「使いものにならなくなった」ことをもって、「物理的損壊」あり、
とみなすわけです。

一口に「賠償」と言っても、保険で手当できるケースもあれば、
「特約」などの更なる手配をした上で手当できるケース、
保険では手当できないために、リーガルチェックなど別の方法で
リスクを避けて行くケースなど、千差万別です。

自分自身、あるいは会社の置かれている状況、環境を俯瞰してみないと、
この千差万別のリスクには対応できない、と言えるでしょう。

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