「ゲリラ豪雨が降ったら・・・」(水害と保険)
昔から夏になると「夕立ち」のように、突然の雨に見舞われ
傘を持って出てきていないことを後悔することがありました。
短時間で集中して雨が降るというのは、特に夏場において
多い気がしますが、最近では「ゲリラ豪雨」などという
物騒な呼ばれ方をしており、どこか風流な「夕立ち」と比べて、
その雨量の多さは各地に深刻な被害をもたらしています。
一度に大量の雨が降ると、その水がうまく排水されず、
河川や湖沼の氾らんを引き起こすのが水害です。
最近では河川の護岸工事などの治水事業が進み、
土手が決壊するなどのニュースはあまり耳にしなくなりましたが、
代わって「都市型」と言うような水害が引き起こされているようです。
これは下水設備が大量の雨水を処理しきれず、
溢れかえることによって起きるようですね。
近くに河川が無いからと言って安心できないのが
近頃の水害事情のようなのです。
さて、この大量の雨によって道が冠水し、
家屋も床上浸水の被害に遭ってしまったような場合、
「保険ではどのような補償が受けられるのか?」
一般的なところをお話ししたいと思います。
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まずは「家屋の場合」・・・
これは火災保険で対象になる可能性があります。
ただし、最も補償の幅が狭いタイプの火災保険の場合
(名称としては「住宅火災保険」や「普通火災保険」)、
水害は補償対象外です。
また、これも従来型に含まれる「住宅総合保険」や「店舗総合保険」
という名称の火災保険も、水害については100%の補償ではなく、
一定の制限が設けられています。
例えば「損害額の70%」までしか補償しないとか、
「100万円が限度」であるとか、といったことです。
これが各保険会社の「最上級」版、「最新型」火災保険
(保険会社によって名称が異なります)になると、
実際の損害額を補償してくれるものもあるのです。
今一度、ご自身がどのような火災保険に加入しているのか
確認してみてはいかがでしょうか。
(※戸や窓の隙間から雨が吹き込んで、家の中が水浸しになった、
というような場合は例え「最新型」の火災保険でも対象にはなりません。
もっとも、強風で窓が割られて雨が吹き込んだような場合は
「風災」として火災保険の対象になる可能性があります。)
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次に道路が冠水して車が水に浸かってしまった場合はどうでしょうか?
これは自動車保険で対応するわけですが、
「車両保険」を付けていないと対象になりません。
「車両保険」は大きく2つのタイプに分かれるケースがほとんどです。
すなわち、「単独事故」と「当て逃げされてしまった被害」を
補償するタイプか、補償しないタイプか、このどちらかである場合が大半です。
車の浸水被害の場合、どちらの車両保険でも対象になります。
(車両保険の加入の仕方が特殊なケースの場合、この限りではありませんが)
車が浸水すると、ブレーキやアクセルのペダル周りや
場合によってはエンジンなどにも損害が及び、
往々にして全損など大きな被害になることもあるようです。
「車両保険」というと、運転ミスで車をぶつけた場合に出るものと
思われていて、むろんそれは正しいのですが、浸水のようなケースでも
対象になることは案外知られていないかもしれません。
日本は元々、雨の多い地域で、人々は雨と上手に付き合って
きていると思うのですが、地球温暖化の影響もあるのか、
これまでの経験以上に警戒を怠れない気象現象が多くなっている気がします。
災害に対して事前に備えることを最優先すべきですが、
不幸にして災害を防ぎ切れなかった時をも想定して、
保険の準備もしておくべきでしょう。