改正育児・介護休業法に関する通達、その3「紛争の解決(紛争の解決の援助)について」
厚生労働省は厚生労働省雇用均等・児童家庭局長名で、9月30日に施行された改正育児・介護休業法の紛争解決に関する部分の運用基準を都道府県労働局長宛に同日通達しました。(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について(第一次施行分)」雇児発第0930第3号:平成21年9月30日)
第1回目の紛争の解決「紛争の自主的解決」、第2回目の「紛争の解決「紛争の解決の促進に関する特例」」に続いて、第3回目は、「紛争の解決「紛争の解決の援助」」です。
2 紛争の解決の援助(法52条の4)
(1) 紛争の解決の援助(第52条の4)
都道府県労働局長は、育児休業等に係わる紛争について、労使当事者の双方又は一方から解決の援助を求められた場合には、紛争当事者に対し、助言、指導又は勧告をすることができる。
イ 「紛争の当事者」とは、現に紛争の状態にある労働者及び事業主をいい、労働組合等の第三者は関係当事者にはなり得ない。
ロ 「助言、指導又は勧告」に従うことは強制しない。
(2) 紛争の解決の援助を求めたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(法第52条の4第2項)
イ 事業主に比べ弱い立場にある労働者を保護するため、労働者が紛争の解決の援助を求めたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止したもの。
ロ 「理由として」とは、労働者が紛争の援助を求めたことが、事業主が当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことと因果関係があることをいう。
ハ 「不利益な取扱い」となる行為の例は以下の通り。
- 解雇すること。
- 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
- あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
- 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
- 自宅待機を命ずること。
- 降格させること。
- 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
- 不利益な配置の変更を行うこと。
- 就業環境を害すること。
上記、「不利益な取扱い」となる行為の例、及び、個別の取扱いが不利益な取扱いに該当するか否か、についての詳細は以下ご参照ください。
子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(厚生労働省告示)
参考条文
改正育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律・・・(傍線部が改正法で追加)
(苦情の自主的解決)
第五十二条の二 事業主は、第二章から第八章まで、第二十三条、第二十三条の二及び第二十六条に定める事項に関し、労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。
(紛争の解決の援助)
第五十二条の四 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2 事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。