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改正労働基準法に係わる質疑応答、その1「時間外労働」

厚生労働省労働基準局は、平成22年4月1日から施行される改正労働基準法に係わる質疑応答集を、ホームページに掲載しました。

今日から数回に分けて、質疑応答集の内容をご紹介したいと思います。

 

第1回目は時間外労働に関する質疑応答集です。

注意事項
  • 法:労働基準法(昭和22年法律第49号)
  • 限度基準:労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)
  • 則:労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)

1 時間外労働(法第36条第2項及び限度基準関係)
限度時間の適用が除外されている事業・業務
Q1
限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率に関する義務又は努力義務は、限度時間に係る規定の適用が除外されている事業又は業務(自動車の運転の業務等)については、適用されないと解してよいか。

A1
貴見のとおり。

つまり、以下の事業・業務に関しては、特別条項に関する改正は適用されませんが、法定時間外労働時間が60時間を超えれば、割増賃金率5割の適用はあります。

1 工作物の建設等の事業 
2 自動車の運転の業務 
3 新技術、新商品等の研究開発の業務 
4 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの 

適用日前に時間外労働協定を締結した場合

Q2
平成22年4月1日から翌年3月31日までを有効期間とする時間外労働協定について、以下のいずれの場合も改正後の限度基準は適用されないと解してよいか。
(1)同協定が平成22年3月30日に締結され、同年3月31日に届出された場合
(2)同協定が平成22年3月30日に締結され、同年4月1日以降に届出された場合
(3)同協定が平成22年4月1日付けで更新された場合

A2
限度基準は、労使当事者が時間外労働協定を締結又は更新するに当たっての基準であり、改正後の限度基準の適用日は平成22年4月1日であるため、同日以後に締結または更新された時間外労働協定に適用される。したがって、(1)及び(2)については改正後の限度基準は適用されないが、(3)については改正後の限度基準が適用されることとなる。

労働条件明示との関係

Q3
限度基準に定める限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率は、法第15条第1項の規定による労働条件の明示に当たり、則第5条第1項第3号の賃金に関する事項として書面により明示する必要があると解してよいか。

A3
法第15条第1項の労働条件の明示に当たっては、賃金の決定、計算及び支払の方法を明示することとなっているため、当該割増賃金率についても書面で明示する必要がある。

1年間とそれ以外の一定の期間で限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が異なる場合

Q4
時間外労働協定の締結に当たり、則第16条第1項及び限度基準第2条の規定に基づき、①一日を超え三か月以内の期間及び②一年間の期間の双方についての延長時間を定めることとされているが、その双方について特別条項付き協定を締結した場合に、それぞれの限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が異なる場合であって、①と②の期間の時間外労働がともに限度時間を超えた場合には、どちらの割増賃金率を適用するのか。

A4
時間外労働時間数が①及び②の期間の限度時間をともに超えた場合においては、時間外労働協定において特段の定めがあればそれによるが、これがない場合、一般的には、高い方の割増賃金率を適用することとなる。

1年間の限度時間を超える時間外労働に対して支払うべき割増賃金

Q5
1か月の限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を3割、1年間の限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を4割としている事業場において、1年間の限度時間を超える時間外労働時間数を計算する際には、1年間の総時間外労働時間数から3割の割増賃金率で計算した割増賃金を支払った1か月の限度時間を超えた時間外労働時間数を控除してよいか。

A5
控除することはできない。ただし、時間外労働協定等において、1年間の限度時間を超える時間外労働労働時間数を計算する際に、3割の割増賃金率で計算した割増賃金を支払った1箇月の限度時間を超える時間外労働時間数を控除する旨の特別の定めを行った場合にはこの限りではない。

端数処理との関係

Q6
時間外労働協定で原則となる延長時間を3か月120時間と定め、当該延長時間を超えた場合には割増賃金率を3割とする旨の特別条項を締結している事業場において、1か月目に40時間40分、2か月目に40時間20分、3か月目に39時間40分の時間外労働を行った場合に、各月ごとの割増賃金の計算に際し、1時間未満の時間外労働時間数の端数を処理し、1か月目は41時間分、2か月目及び3か月目は40時間分を支払うこととすると、3か月間の時間外労働時間数に対する割増賃金の支払はどのように処理すればよいか。

A6
 割増賃金計算における端数処理については、1か月における時間外労働時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、常に労働者の不利になるものではなく、事務簡便を目的としてものであることから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わないとされているところであるので、1か月を超える期間に係る割増賃金計算に際しても、1か月ごとに端数処理を行った時間数を通算し、当該期間に係る割増賃金を計算することとしても、法第24条違反及び第37条違反としては取り扱わない。なお、当該取扱いは割増賃金計算の端数処理にのみ認めるものであり、法第32条の労働時間としては実労働時間数で把握すべきことは従前のとおり。
【実労働時間】  → 【端数処理後】
1月目 40時間40分    41時間
2月目 40時間20分    40時間
3月目 39時間40分    40時間 
計   120時間40分      121時間
(この場合、120時間を超える1時間分について3割の率で計算した割増賃金を支払うこととなる。)

質疑応答の全文は以下をご参照ください
改正労働基準法に係る質疑応答:厚生労働省


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