PCT出願における19条補正のメリット
PCT出願における補正の必要性が小さいと、前回、書きました。
PCT 19条補正について、必要性は無いけれども、強いて言えば、どのようなメリットがあるかを考えてみます。
PCT19条補正は、国際調査報告を受領してから、1回だけ「請求の範囲」を補正できる制度のことです。PCT19条補正は、国際公開に反映されます。つまり、国際出願(PCT出願)当初の「請求の範囲」がいかなるものであるか、どのような先行技術文献に接したのか、その結果、どのように「請求の範囲」を補正したのかが、国際公開で他人の知るところとなります。
このように、思考過程・手続過程が公開されることは通常は不利なので、勧められることではありません。ただし、何らかの事情で、「このような権利範囲を追求している」と表明しておきたいときには役立ちます。例えば、公開によって仮保護的な効果が期待できる場合には、その範囲を最新のものにする意味で、19条補正を行って、最新の「請求の範囲」を公開させることも考えられます。
もっとも、上記のような効果が実効あるのは、極めてまれなケースです。
いちばんの効果は、「補正し忘れない」というのが現実的なところでしょう。
しかし、PCT国際段階で補正しなくとも、同内容の補正は極めて多くの場合、各国移行後にできますから、やはり、前回申したとおり、19条補正の必要性は小さいと言わざるを得ません。