経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 4
解雇に関するルール、第4回です。
これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。
1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力
3 解雇の手続
4 解雇事由
5 整理解雇
6 退職勧奨
今回は能力不足による解雇について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。
能力不足を理由に解雇を検討することは、
会社側の立場としてはよくあることです。
特に、経営状況が厳しい場合、
パフォーマンスが低い人には辞めてもらい、
その分人件費を浮かしつつ、
パフォーマンスが高い人の集団として、
組織をスリムアップしたいと考える
経営者の方は多いのではないでしょうか?
ところが、こうしたことがトラブルとなり、
従業員とのトラブルに発展すると、
裁判で能力不足を認めさせることは
結構、骨が折れます。
実際、就業規則の普通解雇の事由を掲げる条文に
「労働能力が劣り、向上の見込みがない」ことを
掲げていたとしても、
相対評価による考課順位が下位であることをもって
直ちに著しく労働能力が劣るとはいえないとし、
さらに、労働者の労働能力の向上を図る
余地があったにもかかわらず
体系的な教育・指導が行われなかったとして、
解雇を権利の濫用と認めた裁判例があります。
【裁判例】
【裁判例】
従業員として、平均的な水準に
達していなかったからといって、
直ちに本件解雇が有効となるわけではない。
就業規則に定める「労働能力が劣り、向上の見込みがない」に
該当するといえるためには、
平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、
著しく労働能力が劣り、しかも向上の見込みがないときで
なければならないというべきである。
...右人事考課は、相対評価であって、
絶対評価ではないことからすると、
そのことから直ちに労働能率が著しく劣り、
向上の見込みがないとまでいうことができない。
...さらに体系的な教育、指導を実施することによって、
その労働能率の向上を図る余地があるもあるというべきであり、
...いまだ「労働能力が劣り、向上の見込みがない」ときに
該当するとはいえない。
(東京地裁 平成11年10月15日決定)
(東京地裁 平成11年10月15日決定)
こうした観点も踏まえ、
会社側としては、下記のような対策が考えられます。
1 相対評価ではなく、絶対評価に切り替える。
2 能力不足の社員については、
解雇の前に下記の対策を講じる。
1 教育・研修を行う。
2 配置転換をする。
3 会社側からの指導の状況や、本人の成長度合い等を
客観的に確認できる資料として残す。
こうした対策を講じれば大丈夫、とまでは言えませんが、
必要な対策ではあるかと存じます。
また、現実的には、解雇を検討する前に、
退職勧奨を行い、円満退職に向けた努力をすべきでしょう。
さらに言えば、日本の社会においては、
採用するのは簡単ですが、
解雇するには高いハードルが待ち構えています。
安易に採用せず、人材を見極める不断の努力と、
特に能力や協調性等については、
試用期間中にしっかりと見極めることが重要です。
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