トップページ
税理士 会計士 行政書士 司法書士 社労士
弁護士 弁理士 中小企業診断士 経営コンサルタント 保険代理店
HOME > 司法書士 > 司法書士大越一毅事務所 > ブログ > 会社法・商業登記入門第2回「株式会社設立に要する具体的費用~電子定款のメリット~」

« 債務整理のススメ第1回「債務整理って?」 | メイン | 会社法・商業登記入門第3回「定款の定め方~総則~」 »

会社法・商業登記入門第2回「株式会社設立に要する具体的費用~電子定款のメリット~」

こんにちは。中央区の司法書士の大越です。

このコーナーでは、平成18年5月1日に施行された会社法及びそれに関する商業登記について、平易な言葉で分かりやすく説明していきます。
毎回テーマを決め、これから起業を考えている方および現在会社を経営している方にも役立つ情報を提供していきたいと考えています。

第2回は、「株式会社設立に要する具体的費用~電子定款のメリット~」について説明します。

1.株式会社設立の費用
 前回のコラムでも触れましたように、1000万円分の財産を設立時に用意する必要がなくなったとはいえ、1円玉1枚だけでは、株式会社を設立することはできません。
 では、具体的に、どれくらいかかるのでしょうか。
 下記のとおり、参考までに、会社法施行前の株式会社(以下「旧株式会社」といいます。)の場合と、会社法であたらしく認められた合同会社(「LLC」と呼ばれるものです。)の場合も掲載しましたので、比較してみてください。

①株式会社の場合
・最低資本金額:好きな額(1円でも可)
・定款認証代:5万円
・定款の印紙税:4万円
・定款謄本交付代金(1枚につき250円):約1500円
・払込金の銀行事務取扱委託料:0円*1
・登録免許税:15万円*2
・印鑑証明書取得代(1通につき500円):2500円*3
・登記事項証明書代(1通につき1000円):7000円*3
・司法書士報酬:12万~15万*4
・その他諸経費:7万円*5
・合計44万1001円*6

②旧株式会社の場合
・最低資本金額:1000万円又はそれに相当する財産
・定款認証代:5万円
・定款の印紙税:4万円
・定款謄本交付代金(1枚につき250円):約1500円
・払込金の銀行事務取扱委託料:2万円*7
・登録免許税:15万円*2
・印鑑証明書取得代(1通につき500円):2500円*3
・登記事項証明書代(1通につき1000円):7000円*3
・司法書士報酬:12万~15万*4
・その他諸経費:7万円*5
・合計1046万1000円*8

③合同会社(LLC)の場合
・最低資本金額:好きな額(1円でも可)
・定款認証代:0円*9
・定款の印紙税:0円*9
・定款謄本交付代金(1枚につき250円):0円*9
・払込金の銀行事務取扱委託料:0円
・登録免許税:6万円*10
・印鑑証明書取得代(1通につき500円):2500円*3
・登記事項証明書代(1通につき1000円):7000円*3
・司法書士報酬:12万~15万*4
・その他諸経費:7万円*5
・合計25万9501円*6

*1 発起人(複数でも可)が設立時の全ての株式を引き受ける発起設立の場合に限ります。
*2 資本金の額×0.7%です。計算した額が15万円に満たない場合は、15万円です。
*3 会社設立後、銀行や役所等に提出します。一般的に必要になる通数分です。
*4 司法書士報酬は、自由化されていますので、各司法書士によって異なります。
*5 会社代表印、銀行印、ゴム印代などです。
*6 資本金の額を1円、司法書士報酬を12万円としています。
*7 資本金の額×0.25%です。銀行によって手数料額は異なりました。
*8 資本金の額を1000万円、司法書士報酬を12万円としています。
*9 定款の認証が不要だからです。
*10 資本金の額×0.7%です。計算した額が6万円に満たない場合は6万円です。

一見すると、合同会社の設立費用が格段に安いですが、いろいろな制約があることや会社の信用度からいって、株式会社を設立される方が、まだまだ多いでしょう(合同会社の詳細は、別の回でご説明します。)。
旧株式会社との大きな違いは、資本金の額の他に、銀行事務取扱委託手数料(以下「銀行手数料」といいます。)が不要になったことです。

2.なぜ、銀行手数料が不要に?
 旧株式会社の場合は、常に銀行手数料が必要でした。出資金を銀行に別段預金で保管してもらう必要があり、その保管証明書代として銀行手数料がかかるためです。
 会社法下では、発起設立の場合には、発起人の普通預金口座に出資金を振り込むだけで、払込が完了します。
したがって、銀行に事務を委託する必要はなく、保管証明書も不要なため、銀行手数料がかからないのです。
 これにより、費用が安くなるだけでなく、設立手続が今までよりも簡便かつ迅速に行えるようになりました。

3.電子定款のメリット
 旧株式会社の場合も共通ですが、定款は、Word等で作成したものを、PDF化し、それをフロッピーに入れ、公証役場に提出することにより、データに公証人の認証をもらうことができます。これを電子定款といいます。
 電子定款は、データであり紙ではないので、上記費用のうち、「定款の印紙税」4万円が不要になります(今後は不明ですが、現在の印紙税法の取扱ではそういう判断です。)。
 これは、データで持参するだけで、費用が安くなるため、積極的に活用すべきです。
 但し、電子定款を利用するには、大きな問題があります。
 それは、電子定款を作成するための設備費用が、印紙税の4万円よりも高いということです。
 電子証明書・電子署名するため専用ソフト等、少なくとも7~8万円は必要です。
 なおかつ、パソコンに慣れない方にとっては、自分でやろうとすると多大な労力となるでしょう。

 しかし、電子定款作成に対応している司法書士である当方に依頼すれば、ご自分でこれらのソフト等を一切購入することなく、電子定款で定款を作成することが可能ですので、ご安心ください。

4.まとめ
 会社を設立するにあたり、無駄な費用をかける必要は確かにありません。
 しかし、株式会社を設立する方は、会社を今後は大きくし、果ては株式上場を目指すという「希望」をお持ちの方がほとんどでしょう。
 その入り口の段階を、自分でやってみるというのも、もちろんいいです。
 ですが、登記に限らず、細かい手続面などは、多少の報酬を払っても専門家に任せ、社長本人は会社を大きくしていくために営業やビジネスプランを構築するなど、本業に専念することが、将来的には会社の利益になるのではと当方は考えます。
 次回は、「会社の根本規則「定款」の定め方」を予定しています。

この記事をソーシャルブックマークやミニブログへ登録・共有する[使い方はこちら]

« 債務整理のススメ第1回「債務整理って?」 | メイン | 会社法・商業登記入門第3回「定款の定め方~総則~」 »

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.sigyo.net/mt4/mt-tb.cgi/7162

アーカイブ

最近のエントリー

このページのトップへ