寄与分はどんな場合に認められるのか
「寄与分」とは
相続人が数人あるとき、その相続人のうち誰かが、
被相続人の財産を増やしたり
あるいは被相続人の病気の面倒をみたりして、
被相続人の財産を増やしたり維持した場合には、
その分を相続財産から除いたものを相続財産として、各相続人の相続分を決め、
それに「寄与分」を加えたものをその人の相続分とすることです。
(民法904条の2)
では、どのような場合に寄与分が認められるのでしょうか?
Ⅰ.寄与に当たるとされた場合
1.血族相続人
被相続人が死亡するまで25年にわたり共に家業に従事し、
最後まで被相続人と生活を共にして世話をした長男
(福岡家小倉支審S56.6.18)
2.配偶者
37年にわたり病弱の夫を扶養看護し、
夫名義の不動産も専ら自己の収入により購入した妻(山形家審S56.3.30)
Ⅱ.寄与に当たらないとされた場合
血族相続人
長男が父から営業を譲渡された後、店舗部分の拡張や改造をし、
父母の死に至るまで同居扶養したとしても、
これは営業の譲受と深い関係があるから、
特別の寄与とはいえない。(和歌山家審S56.9.30)
これは、自分の仕事でやったことで
親の財産を増やしたわけではないという解釈でしょうね。
Ⅲ.相続開始後の寄与
寄与分は、相続開始時を基準として決めるべきで、
相続開始後に相続財産を維持または増加させても
寄与分にはならない。(東京高裁S57.3.16)