福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(1)
今リスクマネジメント国際規格ISO31000に関する一連の連載ブログを書き終えたところです。そこへ大きな揺れを感じました。2011年3月11日午後2時46分のことでした。
東京電力株式会社福島原子力第一発電所第一号機が「爆発」したと報道がありました。これを聞いて多くの人々は大量の「放射線もれ」があったであろうと思ったでしょう。
―― そんなことは有り得ない。
と、私は髙をくくっています。
―― 私は圧力100kg/cm2、直径2m、高さ10mの極めて危険性の高い「高圧可燃性ガス腐食性液体反応器」の基本設計をした経験から、反応器に相当する「炉心」が破壊することはないことを知っているからです。この常識を持った上で、東京電力の対応を見守っています。
―― 見守った結果として私の印象を項目で上げると以下の通りです。
1) たとえ津波が如何に想定外の大きさのものであっても、自分が動かしている装置を安全に停止することができない事態に陥ったことは恥ずかしいことと思ってほしい。
2) 高温の金属に水蒸気が接触すれば、そこから水素が発生することは化学反応の専門家にとっては常識。水蒸気と水素の混合ガスが冷却されると可燃性水素が分離することは常識。この常識に立てば、炉心を密閉するための「格納器」を設置してある建屋の中で水蒸気を凝縮させることは常識外。水蒸気と分離された水素が空気と混合すれば、いわゆる爆鳴気を形成することも常識。そして形成した爆鳴気が静電気によって着火爆発することも常識。現に爆発瞬間の動画を見ると、衝撃波が走っていることが観察される。この常識外のことをやって建屋内爆発を引き起こして建屋を破壊したことは、恥ずかしいと思ってほしい。
3) 建屋爆発の結果、建屋の構造が極めて弱いものであることを暴露してしまった。壁が吹き飛んだ建屋上部の鉄骨構造が剥きだしになり、格納器が外部から見える状態が写真に写っている。これでは「テロ」勢力に、「攻撃が容易である」ことを暴露してしまったようなもの。即ち下3分の2は頑強なRC構造であるが、上3分の1は脆弱なS構造であることが暴露してしまった。
4) 遡って、海岸に位置しているにも拘わらず、受電送電用変圧器やバックアップ用ディーゼル発電機が津波に対して無防備であったことは、恥ずかしいことと思ってほしい。たとえ津波が如何に想定外の大きさのものであっても。
本日(2011年2月13日午後10時30分)現在、まだ結論はでていませんが、テレビ報道を見た正直な感想を述べました。本件、私の専門であるリスクマネジメントISO31000に関連するので次回以降のブログにおいて詳述します。