成功経営者の8つの共通要因(1)
成功経営者の8つの共通要因(1)
~4月16日の大久保道場にて~
「ビジョナリーカンパニー(2)飛躍の法則」は経営者に愛読者が多い書物です。統計的結論が人間学とも重なり経営者は唸るのでしょう。「飛躍企業の経営者はカリスマ性が乏しく、個人的には謙虚である一方、職業人としての意思は強い」「最初に人を選び、それから目的地(事業)を選ぶ」とは見事です。
大久保道場は株式会社フォーバルの大久保会長を講師に迎え、早朝に経営を学ぶ会です。4月16日(第三回目)の演題は「成功経営者の8つの共通要因」、大久保会長のご経験に基づき、8つの「飛躍の法則」の伝授を頂きました。大久保道場は会場の都合で希望者すべての受入が実現していません。
そこで8つのうちの5つを、私の感想も交えてご報告申し上げたいと思います。正真正銘の共通要因は、機会がありましたら、大久保会長から直接伝授を受けて下さい。迫力が違います!
第一要因 5年、10年スパンの戦略
経営者にインタビューで「10年後の姿」を伺うと、その会社の成長性が見えるそうです。良い経営者は10年刻みの目標をイメージしており、ダメ経営者は意識を今期の業績にのみ集中しているのです。ソフトバンクの孫社長は、28歳の時に「20年後にはインフラを持ちたい」と構想されていたそうです。中長期のビジョンが経営戦略ブレを抑え、経営の背骨を形成し、スケール感を醸し出すのでしょう。
大久保会長によると、この第一要因は成功経営者にほぼ例外がないそうです。経営初期から心がけておくべきとの事でした。とはいえ創業時から10年後の自分をイメージできる社長はなかなかいないでしょう。苦労を積み重ねる中で、中長期的な視点の重要性が分かるのでしょう。
私は事業計画を作成される社長に、まずマンダラ手帳の「人生百年計画」の作成をお勧めしております。人生の最終イメージと、概ね20年単位の成長イメージを過去・現在・未来に分類して書くのです。事業計画も人生の一部であり、人生を演出する重要な要素なのです。自分の人生と向き合えていない事業計画は、どこか説得力が乏しく空虚な印象を与えます。
人生百年計画を立てると、自分の「あるべき姿」が見えます。あるべき姿が見えると無駄が排除され、決断スピードが速くなります。「誤った過去からの反逆」ともいえる緊急事態が徐々に減少していきます。短期的な目標は利害関係者の反発が尖鋭ですが、百年単位の目標には反発も先鋭化しません。
大きな目標を具体化するには、右往左往を繰り返し、思考を熟成する時間も必要です。足元の不安定に耐える精神力が試されるのです。
会社にも「会社100年の計」が必要です。これが「経営理念」「社是・社訓」に現れます。大企業の経営理念を紐解くと、成長期は遠くを見ながら、近年は足元重視に変更される事例が散見されます。中長期スパンでの経営の難しさの証明なのでしょうが、これが我が国経済の現在の低迷の一要因なのかもしれません。