第179回 沼田の感性
成功経営者の8つの共通要因(3)
~4月16日の大久保道場にて~
少し古い話になりますが、前回に引き続き4月16日開催の大久保道場をレポートします。成功経営者の8つの共通要因の中の第一要因は「5年、10年スパンの戦略」、第二要因は「共鳴するパートナーを得る」でした。第三要因は権限委譲と部下の育成を進展させる社長の心構えがテーマです。
「心構え」といえば、5月21日の大久保道場では「成功する経営者の11つの内面の共通点」という講話が行われ、参加各社は2つの経営課題が出されました。一つ目は「自社のボトルネック、アキレス」。予め見えていれば冷静な対応が可能ですが、突発事態に右往左往すると求心力を失い会社の危機を招きます。二つ目は「顧客満足を高める具体的な施策」、顧客が見えていない経営者は即答できず、貴社のサービスはパーフェクトなのか?」と手厳しく叱られます。大久保道場は双方向ゼミ形式。早朝の清々しさで刺激を受け、経営脳を全開にします。
第三要因 業務を任せて人を育てる
成功経営者の共通要因の3点目は、「業務を部下に任せる」姿勢です。一旦は任せても事後に口を挟むと、部下はモノを考えなくなります。これは「仕事」では無く「作業」になってしまいます。かといって放置プレーでは、成果が上がらないばかりか不正の温床にもなりかねません。極意は「任せて、任せず」、権限を全面的に委譲しながら節目では確かなチェックを行う、これが成功経営者に共通の経営スタイルなのだそうです。
経営者は自分にしかできない事だけを実行し、他の業務はすべて部下に任せるべきです。その結果伸びる会社の経営者ほど暇になります。「忙しい経営者は、お金も忙しい」と言います。考える時間もなければ緊急案件に対応する余裕もありません。したがって成長戦略も描けません。ルーティン・ワーク尽くしでは部下の成長も無いのです。
さらに経営者は業務を熟知しなければ、有効なチェックができません。チェックができない業務が、成長経営の死角となりやすい分野です。コンサルタントに依頼するにせよ、アウトソーシングを活用するにせよ、最終責任は経営者が負うしかありません。様々な業務を経験したジェネラリストが経営者として有利な部分かもしれません。
権限委譲の方法を物語る教訓をご披露いたします。トップが新規営業のお膳立てをして、NO.2(部下)が細部のクロージングをする会社は伸びます。トップが営業をしない会社は有力な新規プロジェクトが乏しい会社、管理システムは整備されても、成長性には疑問符がつき、長い目で見ると環境変化に対応できない恐れもあります。逆にトップが営業の全プロセスに関わる会社は、目先の成果は出ても部下は育ちません。経営者個人の器が、会社の成長の限界となります。最後をトップがまとめてトップに花を持たせる会社は、部下は育つかもしれませんが、ルーティン案件から脱せず、成長軌道には乗り難いといいます。ちょっとした役割分担の違いが、会社や部下の成長速度を左右する、というのは興味深くもあり、経営者としては背筋がひんやりする講話でもありました。