第181回 沼田の感性
成功経営者の8つの共通要因(5)
~4月16日の大久保道場にて~
4月16日の大久保道場の最終レポートです。「5年、10年スパンの戦略」「共鳴するパートナーを得る」「権限委譲と部下の育成」「柔軟な心」に続き最後は「神を信じ他人の幸せを考える」です。成功経営者の共通要因は、必ずしも大久保会長ご自身の経営手法と一致しないそうです。そして「ここが○○社長との差です」という語り口が会場の笑いを誘います。
話は飛びますが、7月22日閣議提出の「経済財政白書」によれば、日本経済はこれから試練のときを迎えそうです。サブプライムローン問題に揺れる米国経済と原油・原材料価格の高騰を短期リスク、少子高齢化に伴う財政の負荷を長期リスク、そして企業も家計もリスクを取らない傾向を中期リスクと指摘しております。
資本主義は本来チャレンジングな制度です。いつの時代もルールや秩序に挑戦し新天地を目指すプレーヤーが出現します。こうしたプレーヤーは合法と違法の境界線上にビジネスモデルを構築し、既存のパラダイムを転換し、無人の荒野を突き進むが如く勝ち続ける場合があります。どこかで既存の秩序との衝突を経験しますが、ここを乗り越えたのがGoogleとすれば、跳ね返されたのがライブドアなのかもしれません。
合法的なパラダイム転換が封じられ若者に「蟹工船」が流行する、なんて因果関係もあるのかもしれません。社会が挑戦を許容するには、精神的なバックボーンも必要なのかもしれません。
第五要因 神を信じ他人の幸せを考える
経営経験が長くなると、「生かされている」「助けられている」という気持ちを感じるようです。この気持ちを恥ずかしがらずに率直に表現するのも成功経営者の共通点だそうです。社長室などに神棚を祭る経営者も多く見られます。ある会社では5月2日を「7大恩人の日」として休日とし、生存されている創業来の恩人に感謝を示すのだそうです。
また成功経営者は純粋な気持ちで他人の幸せ、社会への貢献を考えているといいます。
このテーマで私が思い浮かぶのは「メザシの土光」こと土光敏夫氏(元経団連会長、元東芝会長)です。朝夕に法華経(かなり長いお経です!)を読誦し、経営者として感謝と仏の道に外れぬ生き方を日々誓われたと聞きます。私生活では質素倹約(応接間にはエアコンが無かったそうです)、公的活動では公益への奉仕を徹底され、宗教関係者からの講演依頼には「ワシの南無妙法蓮華経は、自分だけのもの。人に語り継ぐものではない。」と断られるのが常とのこと。金儲けに走る仏教界にも苦々しい思いを持たれていたようです。
土光氏ですら疑獄事件で拘留されたご経験があります。まっすぐに生きる事は成功を保証するものではありません。経済が下り坂を迎えた今、上を目指す時代に忘れてしまった何かを取り戻す時期なのかもしれません。
大久保道場の最後のレポート、かなり脱線してしまいました。申し訳ありません。