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相続対策としての「毒まんじゅう」!

昨日のセミナーで公開してしまいましたが、弁護士と司法書士と私でセミナーの打ち合わせをしているときにとんでもないアイディアを思いついてしまった。

よく相続や事業承継の本で、後継者に普通株式を相続させ、後継者以外の相続人には無議決権の配当優先株式を相続させれば、支配権と財産権をうまく切り分ける事ができ、肝心な支配権を後継者に、将来配当をもらってお金に困らない暮らしという意味での財産権を、他の相続人に相続させて、みんなハッピーというシナリオです。

最低限主張できる慰留分についてもきちんとケアされているので、一件すばらしいプランに聞こえます。

 しかし待てよ。日本の中小同族会社で「配当をする会社」がどれだけあるのかという疑問がふとわいてきたわけです。そもそも、役員報酬で全てもらってしまって利益を消してしまうところがほとんどなので、わざわざ法人税を払った後の利益から、源泉所得税をさっ引いて配当するという会社はかなり少数です。

となると、事実上配当をもらえないし、圧力をかけようにも議決権はないしということで、その他の相続人は非常に困った立場に立たされるわけです。しかも、相続税は待ったなしでかかってきます。(2年間無配の場合は議決権が復活するというような設計は任意です)

他に現金が無ければ、家まで差し押さえられるかも知れませんし、もし連帯保証で後継者の方にいったとしても、それは元々その人が払うはずだったお金だから、本人は一銭も損はしません。なんなら、無議決権株式の評価として5%分を負担してあげても良いですけどね。

もう、後継者に泣きつくしかありません。

しかも、株式は価値があるとみなされてしまうので、遺留分を侵害しているからと訴えても、将来にわたって配当が無いというのを証明するのはそもそも無理ですし、もう財産をもらっているでしょということになってしまい意味がないわけです。

じゃ、捨ててしまえば良いじゃないかと思っても、そうは問屋が卸しません。株主名簿に書いてある以上捨てたとしても株主です。こんな株を買ってくれる人もいないでしょうし、結局後継者に泣きついて安く買ってもらうしかないのです。そうしない限り永久に本来後継者の支払うはずだった相続税の一部を払い続けなければいないという毒は、末代までたたります。

創業者のパパが子どもたちによかれと思って行った相続対策と遺言が、かえって子どもたちの関係を悪化させてしまう事になるわけです。

しかも、今のところ解毒剤は発見されていません。まさに解毒不能の猛毒です。唯一3ヶ月以内に相続放棄をしないと毒が体中に回ってしまいます。

もし、どうしても懲らしめたい放蕩息子や放蕩娘がいるのであれば後継者と相談の上、毒まんじゅうを盛るというのもあり・・・、いやいや、この破壊力は核兵器並みなので、よい子のみなさんはそんな事はしないですよね。(3ヶ月以内にこれだけの複合的な知識を持っている専門家に相談するのは、放蕩息子や放蕩娘には事実上不可能かもしれませんし)

あー、怖い怖い。
私の知っている人たちが「毒まんじゅう」にあたらないことをお祈りしています。

-【警告!】------------------------------------------
節税はナマものです。たとえ現時点で有効であっても、数年後には封じられることもありますし、対策の時期、目的、規模、期間、あるいは対象の個別事情によっては当初想定されていた効果が出ない場合もあります。実際の実行にあたってはきちんと専門家に相談して事故の責任において行うようにしてください。
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