この帳簿書類一式お借りしてもいいですよね。
税務調査でやってくる調査官も数が限られています。一般の人たちからは煙たがられる存在だからか、有能な調査官を採用したり育てたりするのも大変なようです。
そんなこんなで、単にご挨拶程度の定期的な調査の場合、一人とか二人程度の小人数でやってくることが多いようです。
実際の調査では一定のヒアリングが終わると、帳簿や領収書など紙の資料のチェックが始まりますが、当然量も多いので、上手にあたりをつけて調べないと時間ばかりかかってしまい、効果的な調査ができないわけです。
調査にパソコンを持ってきてエクセルなどで集計するという姿は未だに見たことがありませんので、多くの場合調書と呼ばれる用紙に集計したりメモしたりしています。当然、端から見ていても非効率この上ないわけです。
しかも、経験豊富で給料が高そうなベテラン調査官がいちいち手書きで集計しているのを見ると、「税金もったいない」なとすら思ってしまうぐらいです。
ある程度の当たりがつくと、こんな言葉を言ってくる調査官がいます。
「この帳簿書類一式お借りしてもいいですよね。」
いかにも、当然のようにいってくるので、ふとOKしてしまいたくなるのですが、本当に応じなければいけないのでしょうか?
はたまた、応じないと何か不利益があるのでしょうか?
もし、持って帰ったとすると、重箱の隅をつつくようにチェックされますし、単純な領収書の集計などは署内の職員にお願いして人海戦術でミスの発見や脱税の証拠固めに入ってくると思います。
しかも、無いとは思いますが、書類を無くしてしまったり、情報が漏洩したり、見えないところで小細工などをされたりするとやっかいです。
また、書類を持って行かれてしまうと、月々の経理処理が滞りますし、とっさに何か調べなければいけないときに間に合わないことも出てくるかも知れません。
私はよくこの申し出を無碍に断りますが、そんな理由からです。
令状を持っていない以上、単なるお願いでしかありませんので、断ったからといって不利益になる事はありません。あくまで、単なるお願いですから、ダメですというだけです。
怪しいと思われたり、嫌がらせを受けると言うことはありませんでしたので、そこはきちんと理由を説明してお断りしましょう。
とはいえ、お預けする場合はきちんと預かり証を書いてくれますので、手続きはしっかりしているようですね。
p.s.貸してあげると調査に協力的という印象は多少あるかも知れませんが、そんなちょっとしたメリットよりも、何かあったときのリスクの方が大きいわけです。