どうしてこの資料とこの資料は数字が合わないのですか?
調査官も経験を積んだ人になってくると、税務だけでなく会社法などの知識、給与計算や社会保険、労働保険関係の知識も持っている場合があります。
これに限らず、法定調書合計表や源泉所得税の納付書など、定期的に税務署に対して報告している様式もあります。
調査の際に帳簿や各種書類を見比べながら、本来あるべき数字と実際の数字、あるいは日付などを含めて整合性を確認していくと、あっているはずなのになぜかずれている部分を見つける場合があります。
多くの場合は、ちょっとしたミスや、しくみの違いによるズレなのですが、質問してみたところで、きちんと回答できないとかなり怪しい目で見られてしまいます。
いったいどんな場合にズレが発生するのでしょうか?
例えば、
・作成するのを忘れていたことに気づいて後でつくった書類
・そもそも以前のものの間違いを見つけて修正したのですが、その他の部分を修正し忘れていた
・下書きのレベルの書類から、仮で入力していた仕訳を後日修正しわすれた場合
・そもそも、ずっと前から継続的に間違っていた場合
などなど、いろいろな理由が考えられます。
あってはいけないのが、「後から日付をさかのぼって故意に書類を偽造した」というような類の脱税です。
もう、お気づきになりましたか?
単なるミスと、故意の偽造は紙一重です。
本気でつつかれると、お互いに証拠による立証も非常に難しいと思います。
こんなところで無駄な争いをするよりも、きちんと書類を作成するのはもとより、各書類間の整合性のチェックを行っておくとミスを防ぐことができますので、必要のない紛争から身を守ることができます。