裁判員候補 通知配達
裁判員候補 通知配達
辞退 柔軟に対応
来年5月に始まる裁判員制度に向けて、候補者となった全国約29万5千人に発送された通知が29日、届き始めた。仕事が忙しかったり、予定が入ったりした場合、どういう理由ならば辞退が認められるのか。最終的な判断は個々の事件の裁判官に委ねられるが、最高裁は「柔軟に認めていくべきだ」という方針だ。
○ 急な納品 × 社内会議
裁判員は法律上、国会議員や弁護士などの法曹資格者、警察官や自衛官はなることができない。また、70歳以上の人や学生、重い病気を抱えている人などは辞退を希望すれば認められる。
しかし、単に「仕事が忙しい」ということだけでは理由として認められない。「重要な用務で、自分が処理しなければ著しい損害が生じるおそれがある」という規程を満たす必要がある。どういう状況が「著しい」のかは、個別の事情次第。これまで各地の裁判所で行われた模擬選任手続きの例では「代わりになる人がいない」「別の日に変えられない」ということが重要な要素となっている。
候補者となった人は、28日に発送された通知に同封された調査票で、特に忙しく、外して欲しい月を二つ、指定することができる。来年5月21日に制度が始まると、裁判員が事件ごとに数十人の候補者の中から選ばれるが、その時点でも具体的な日程を見て、辞退を希望できる。
辞退がどこまで認められるのかは、希望者が全部で何人いるのかや、呼び出しに応じて何人が裁判所に来たのかによっても異なる。候補者の中からは裁判員(1事件で6人)に加え補充裁判員が選ばれるほか、検察と弁護側の双方が理由を示さずに外せる人も出てくる。
25日に就任した竹崎博允・新最高裁長官は会見で「裁判員の選定では、柔軟な判断によって、生活に負担が起きないよう配慮する必要がある」と強調しており、辞退は当面かなり認められそうだ。(20.12.1 朝日新聞 -労働問題-)