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年休の事前申請はいつまでにすればよいか?

Q質問  年休の事前申請はいつまでにすればよいか?
 工場勤務の40代女性。職場では勤務シフトを決めるため、年次有給休暇は取得希望日の前週末までに申請しなければ認めないという規則がある。病気などやむを得ない場合は別だが、家族の都合などを理由とした急な予定変更はできず、困っている。事前申請制度は問題がないのだろうか?

A答え  労働基準法では、6ヵ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には10日間の年休を与えることになっている。最高裁は労働者があらかじめ取得日を指定して請求すれば、原則として年休は認められると判断している。
 ただ例外があり、同法では使用者の権利として「時季変更権」も認めている。例えば、同じ職場の労働者が一斉に同じ日に取得してしまうと、通常の業務に大きな支障が出る。こうした理由があれば、使用者は時季変更権を行使して取得日を変更できる。

 相談例のような事前申請制度では、労働法務に詳しい弁護士は「年休日の指定を受けた会社側が、時季変更権の行使を判断する時間があるかどうかが問題となる」と説明する。
 実際の裁判例では、「年休の申請は取得する希望日の前日正午までに書面で申請しなければならない」という就業規則について、神戸地裁は1997年、「労働者が取得日を指定する権利に著しい影響を与えず、合理的」と判断している。勤務シフトを組むような職場で「前々日までに申請しなければならない」という就業規則があったケースでも最高裁は「労基法違反ではない」と認めている。

 一方、1人当たりの乗務時間に上限のあるパイロットのように、突然の年休取得によって代替要員の確保が難しい職種では「年休取得は前月17日までに事前申請するよう求めている」(ある航空会社)という。ただ「病気を含めて突然の年休請求に対応できるように補助要員も勤務シフトに入れている」(同)のが実情だ。
 
 弁護士は「会社側が時季変更権を行使するか判断する時間を考慮しても、通常は前日正午ぐらいまでの申請であれば問題ないだろう」としている。シフト制などを理由に会社が期限を設定する場合でも「2日前程度が限度。ぎりぎりの人員配置などの事情があったとしても、前週末までに申請しなければ原則として年休を認めないという制度は、労基法違反の可能性が高い」(同弁護士)という。

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