雇用対策3年で2兆円
与党提示 140万人を下支え
与党の『新雇用対策に関するプロジェクトチーム(PT)](座長=川崎二郎・元厚生労働相)は5日、非正規労働者の就労支援などを盛り込んだ追加雇用対策をまとめ、麻生首相に提出した。今後3年間で2兆円規模の事業費を投入し、雇用確保策や新規創出策により140万人の雇用の下支えを目指すとしている。政府は与党の提言も踏まえ、10日に政府としての雇用対策を決定する見通しで、可能なものから順次実施する。
追加対策は、①雇用維持対策 ②再就職支援対策 ③内定取り消し対策――の3本柱からなる。雇用維持対策では、派遣社員を正規社員として採用した企業に1人あたり100万円(大企業は半額)を支給する制度などを盛り込んだ。再就職支援策では、地方自治体が職を失った非正規労働者や中高年者に一時的な就業機会を作る制度を創設する。雇用保険制度を見直し、非正規労働者に対する適用範囲を拡大し、受給資格も緩和する。内定取り消し対策では、ハローワークに相談窓口を設置し、悪質な場合は企業名を公表する。
財源は雇用保険料の事業主の積立金である雇用安定資金と一般財源から各1兆円を確保し、雇用創出に向けて、過去最大規模となる4000億円の基金を設立する。一般財源分の1500億円は年明けの通常国会に提出する2008年度第2次補正予算案に計上し、残りの8500億円は情勢を踏まえて順次、支出する。与党は当初、追加雇用対策の経費について雇用保険からの1兆円で対応可能としていたが1兆円積み増しした。
「新たな雇用対策に関する提言」の骨子
雇用維持対策
●派遣先の派遣労働者雇い入れで100万円支給
●雇用調整助成金の特例措置実施
再就職支援対策
●適用基準緩和など雇用保険制度の見直し
●都道府県への交付金に基づく緊急雇用創出事業の創設
●障害者や母子家庭の母ら就労支援の推進
●福祉・介護業務の職業体験提供
内定取り消し対策
●内定取り消しに関する相談
●悪質企業の公表
(20年12月6日 読売新聞 -労働問題-)