休業手当向けの助成金
休業手当向けの助成金
解雇回避へ申請殺到 先月2万人分
国が企業に従業員の休業手当を助成する「雇用調整助成金」の利用申請が、先月1~22日だけで2万人分以上にのぼることが、厚生労働省のまとめで分かった。一昨年度1年間の利用はのべ5万6千人で、この3週間で、その4割近くもの申請があったことになる。景気後退で生産量が減り、従業員を休業させざるをえない企業が急増している実態が浮かび上がった。
雇用調整助成金は、国が休業手当を助成して、解雇などのリストラを防ぎ、休業でしのいでもらうのが目的だ。
厚労省が大都市のある12都道府県の労働局に緊急調査した結果、助成金に関する相談は1万3496件、事前の利用申請をした企業は339事業所、休業対象の労働者は2万402人にのぼった。
対象労働者のうち、自動車産業関連が1万311人(104事業所)と過半数を占めた。休業予定日数は平均9.2日。トヨタ自動車が赤字転落の見通しとなり、大手各社が1千人単位で非正社員を減らすなど、販売不振が続く業界の厳しさが顕著に表れた。
企業は従業員を休業させる際、賃金の6割以上の手当てを支払う必要がある。助成金は、生産量が減っている企業などに、手当の原則2分の1(中小企業は5分の4)を、3年間で上限150日(同200日)支給する。
従来、対象は雇用保険に6ヶ月以上加入している人に限られていた。だが雇用対策として先月から、雇用保険加入期間が6ヶ月未満の人や、未加入でも週20時間以上の勤務で6ヶ月以上雇用されている非正社員らも対象になった。
助成金の支給総額は、バブル崩壊後の94年度に過去最高の657億円にのぼった。その後は減少傾向が続き、06年度は過去最低の2億2900万円。07年度も2億4700万円だったが、08年度は10月末時点で3億3千万円にのぼっている。景気の悪化に加え給付対象を広げたことで、昨年度の数倍以上になるのは確実な情勢だ。(21.1.6 朝日新聞 -労働問題-)