「改正労働基準法」成立、「派遣法」も改正見込み
2009年1月号より抜粋
効率的な働き方へ、業務を見直す1年に
「改正労働基準法」成立、「派遣法」も改正見込み
今年の企業は、業務の効率化を問われることになりそうです。
平成20年は非正規社員と正社員の二極化が進み、ワーキングプアやグッドウィルの事件など派遣にまつわるニュースが紙面を賑わせました。少数の正社員に負担が集中し、長時間労働も大きな問題となっています。これらを背景に、「改正労働基準法」が成立、「労働者派遣法」も改正される見込みです(平成20年12月現在-国会審議中)
月60時間超の残業は50%の割増
12月5日に成立した改正労働基準法の主な内容は次のとおりです。
①残業代の割増率について、月60時間を超える部分を「25%以上」から「50%以上」に引き上げ
②年次有給休暇のうち年5日分について1時間単位での取得を可能に
残業が月80時間を超えると過労死の危険が高まるとされていることから、当初80時間を超える場合に割増率が高く設定される予定でしたが、一層の制限に向けて「60時間超」へ修正されました。ただし当分の間、中小企業に①は適用されません。
改正労働基準法は平成22年4月より施行されます。
派遣法は規制強化
主な改正内容は次のとおりです。
①日雇派遣(日々または30日以内の派遣)の原則禁止
②グループ企業への派遣を全体の8割以下に制限
③違法派遣の場合、行政が介入し派遣先への直接雇用を勧告できる制度創設
日雇派遣禁止の見通しにともない、運送業など業務量の変動が激しい業界では、すでに短期アルバイトへシフトする動きも見られます。なお、通訳など一部の専門的な業務については、今後も日雇派遣を認めるとしています。
これらの改正案は臨時国会に提出され、平成21年10月より施行される見込みです(①②など一部は平成22年4月から施行予定)。
改正法施行後は、短期の派遣活用や長時間残業によって業務量の変動に対応することが難しくなります。
近い将来に対応するため、今年は事業運営を見直す年にしなければなりません。例えば、計画性の強化や作業のムダ排除など、身近な改善の余地があるはずです。