雇用保険の制度改革 適用拡大148万人どまり
職を失う非正規社員への安全網として検討されている雇用保険制度の改正で、新たに適用範囲に加わる労働者が百四十八万人にとどまることが厚生労働省の推計で分かった。厚労省が想定する加入条件緩和では、雇用保険に未加入とみられる約千六万人の八割以上が引き続き対象外となる。ただ未加入者の半数強にあたる五百十四万人はパートや学生アルバイトで、一律に適用対象とはしにくい面もある。
現行制度は週二十時間以上働き、雇用見込み期間一年以上の労働者に適用される。厚労省は景気後退などによる非正規社員の失業増を念頭に、雇用見込み期間を「一年以上」から「六ヵ月以上」に短縮して保険の適用対象を拡大する方針だ。
今回明らかになった二〇〇七年ベースの推計によると、雇用見込み期間が一年未満で週二十時間以上働くのは四百九十二万人。このうち、雇用保険制度の見直しで適用対象となるのは雇用見込み期間が六ヵ月以上一年未満の百四十八万人だ。
一方、今回の見直しで対象にならない「週二十時間以上働き雇用見込み期間六ヵ月未満」の人や、パート労働者などは合計で八百五十八万人。雇用保険を巡ってはさらなる対象拡大を求める声もあるが、扶養される立場や経済的に余裕がある人まで広げることには議論の余地がある。失業給付への依存度が高まるモラルハザードへの目配りや、給付要件見直しなど不公平感の回避も課題だ。
(21.1.16 日本経済新聞 -労働問題-)