雇用保険加入要件 半年に短縮
自公民合意 料率0.8%に軽減
非正社員の雇い止めなどに対応した雇用保険関連法案の改正をめぐり自民、公明、民主党は17日、非正社員の雇用保険加入要件を現行1年以上の雇用見込みから6ヶ月へと短縮することで合意した。雇用保険料率は09年度に限り1.2%から0.8%(ともに労使折半)に引き下げる。とともに政府案どおりだが、加入要件は野党の意向を採り入れ、さらなる緩和の検討を求める付帯決議を採択する。
与党と民主党は全会派一致で18日の衆院厚生労働委員会で可決することを目指す。
今回合意した改正案の施行日については「年度末までに失業する人も対象に含めるべきだ」とする野党側の主張を受け入れ、3月31日へと1日前倒しした。例年、年間退職者の約1割が同日付けに集中していることを考慮した。
改正案では失業手当の受給要件についても、雇い止めの場合、必要な保険加入期間を現行の12カ月から6カ月へと短縮するなどの給付拡充を盛り込んだが、3月31日付の失業者からその恩恵をうけることになる。今年は3年の派遣期限を一斉に抑える「09年問題」の要素が加わるため、与野党は「新たに10万人程度を救える」と見込む。
非正社員の加入要件について野党側は「働く者は原則加入させるべきだ」として「31日以上」と主張してきたが、政府案の早期成立による適用拡大を優先した。今回の加入要件の緩和によって、雇用保険に加入していない約1千万人の非正社員のうち、新たに148万人が対象になる。
雇用保険料の引き下げは、麻生首相が昨年10月の新総合経済対策で打ち出した。企業負担の軽減分を春闘での賃上げにつなげることを狙っていたが、企業側は慎重で実現の見通しが立たず、野党側が「料率引き下げより財源確保による給付の拡充」を求めたため、調整が難航。しかし政府・与党側が「1年限りであれば、雇用保険財政に影響をあたえない」と主張、押し切った。料率引き下げで企業と家計合わせ年約6400億円の負担軽減となる。(21.3.18 朝日新聞 -労働問題-)