名ばかり管理職認め和解
マクドナルド 残業代1000万円支払
日本マクドナルド(東京都新宿区)が直営店の店長を労働基準法上の管理監督者(管理職)と見なして残業代を支払わないのは違法として、埼玉県熊谷市で店長を務める高野広志さん(47)が、同社に未払い残業代などの支払を求めた訴訟の控訴審は18日、東京高裁(鈴木健太裁判長)で和解が成立した。同社が、高野さんは管理職ではないと確認し、和解金として、約4年半の残業代分など約1000万円を支払う。
大手企業を相手に、現職の店長が「名ばかり管理職」の労働実態を訴えた訴訟は、原告の実質的な勝訴で終結。同様の「管理職」を抱える他の企業の労務管理にも影響を与えそうだ。
高野さんは1987年に同社に入社し、99年に店長に昇格。その後も早朝から深夜まで調理や接客を行い、残業時間が月100時間以上に及ぶこともあったが、店長は労基法上、残業代の支払対象から除外される管理職にあたるとし、残業代は支払われなかった。
一審・東京地裁判決は、高野さんについて、アルバイトの採用などの権限が店舗内に限られ、賃金などの待遇も不十分だったと指摘。「経営者と一体的な立場にある管理監督者とは言えない」として、約755万円の支払を命じていた。
同社は昨年8月以降、高野さんを含めた直営店の店長約1700人を管理職から外し、残業代を支払っている。
日本マクドナルドの話
「和解は本人にとっても他の社員にとってもベストだという経営判断をした」
3月19日 読売新聞―労働問題―