リクルート社員 過労死と認める 東京地裁判決
リクルートの就職情報サイト編集者だった石井偉さん(当時29)が96年8月にくも膜下出血で死亡したのは過労が原因だとして、両親が労災保険法による遺族補償などの不支給処分の取り消しを国に求めた訴訟で、東京地裁(白石哲裁判長)は25日、両親の訴えを認める判決を言い渡した。
死亡前に夏休みをはさむなどしたため、死亡半年前からの残業時間の月平均が国の認定基準に達していない今回のケースが過労死と認められるかが争点だった。
判決は、同社ではタイムカード上の労働時間を会社側が後で書き入れるなどの方法で、総労働時間を上限時間ちょうどに合わせるなどの過少申告が行われていたと認定。石井さんの同年4月以降の労働時間に月5時間を加算したうえで、石井さんの業務は特に過重だったと判断。「過重な業務により持病が急激に悪化して発症したとみるげきだ」として、死亡との間に因果関係があったと認めた。
遺族と同社との民事訴訟はすでに和解が成立している。同社は「改めて個人のご冥福を心よりお祈り申し上げる」とのコメントを出した。(21.3.26 朝日新聞 -労働問題-)