「部下からいじめ」労災に
「部下からいじめ」労災に
うつ病自殺の会社員
部下からのいじめで、うつ病を発症し自殺したのに、労災と認めないのは不当として、男性会社員(当時51)の遺族が、国の処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は20日、自殺と業務との因果関係を認め、処分を取り消した。遺族の代理人弁護士によると、部下からのハラスメントで労災が認められるのは珍しいという。
原告は、レストランや給食事業を手掛ける小田急レストランシステム(東京・渋谷)に勤務していた社員の遺族。
判決理由で、白石哲裁判長は「部下から虚偽のビラをまかれたことや、その後会社から異動を命じられたことが、うつ病の発症や悪化につながった」などと指摘。「部下とのトラブルが心理的負荷を与えたと認められる」と判断した。
判決によると、男性は1997年ごろ、契約社員からパートに職種変更された部下から嫌がらせを受けた。男性は98年4月に配置転換させられ、その後、自殺した。
判決後、男性の長女は東京都内で記者会見し、「残された遺族は一生かかって悩むことになる。国や経営者は悲しいことがなくなるよう努力してほしい」と訴えた。(日本経済新聞 -労働問題-)