意識低い派遣先企業
意識低い派遣先企業
2割報告せず
なぜ、派遣労働者の労災が減らないのか。厚生労働省の調査結果からは、派遣という働き方の問題点が浮かび上がる。
2008年に労働災害で死傷した派遣労働者は5631人。製造業への派遣が解禁された04年に比べて8.4倍となっている。派遣労働者数は最新の07年度調査で約381万人。この数は、年度ごとの集計なので単純比較はできないが、04年度の約227万人の1.7倍だ。派遣労働者数の伸びに比べ、労災による死傷者数が急増しているといえる。
仕事の経験期間が短いことも特筆される。例えば労災事故に見舞われた派遣労働者の全体の6割超を占める製造業をみると、3人に1人が3か月に満たない。1年未満なら62.9%を占めていた。
労災に対する派遣先企業の意識も低いようだ。労働安全衛生法、労働安全衛生規則では、派遣労働者が休業4日以上の労災に遭った場合、派遣会社、派遣先企業の双方が労働基準監督署に対し、「遅滞なく」報告しなければならない。しかし、今回の調査で集計した5631人のうち、派遣先企業から報告されていたのは、8割の4574人で、派遣会社との報告数の差は1057人に上った。厚労省は「労災を報告しないのは法律違反になる」として、派遣先企業への指導も強化する方針だ。
派遣会社約770社が加盟する社団法人日本人材派遣協会は「派遣先企業のニーズをかなえようとするあまり、本人の適性を度外視して派遣してしまうケースがあるのは確かだ。派遣労働者にしっかり現場を理解させる努力が派遣会社に求められている」と話している。(読売新聞 -労働問題-)