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厚年基金「含み損」7割超

厚年基金「含み損」7割超


 昨年度末、積み立て不足3倍に
 母体企業の穴埋め必要 給付減額の痛みも


 代表的な企業年金である厚生年金基金の財政が急速に悪化している。国に代わって給付する厚生年金部分(2階部分)が積み立て不足に陥った基金の割合が2008年度末で過去最大の約78%となり、前年度末の3倍に膨らんだ。株価の下落などによる年金資金の目減りが主因で、国より手厚く給付するための基金が大きな「含み損」を抱え込んだ格好だ。
 厚年基金の加入者は473万人で、サラリーマンの7人に1人が加入する。厚生労働省は各基金に対し、運営改善策を盛り込んだ長期計画を策定するよう求める。
 日本の公的年金は①全国民に共通する1階部分の基礎年金(国民年金)②会社員を対象とする2階部分の厚生年金――で構成する。このほか企業が給付を独自に上乗せする3階部分の企業年金がある。
 厚年基金には2階部分にあたる厚生年金の運用や給付を代行する仕組みがある。代行部分の保険料と独自部分の掛け金を一体的に運用し、より手厚い年金を給付する。
 厚年基金は代行部分の年金給付に備え、責任準備金を積み立てる必要がある。年金の実務を扱う金融機関などに08年度末時点で聞き取り調査したところ、全国614基金のうち476基金で準備金が最低限必要な水準を割り込んでいた。独自部分の上乗せ給付の財源だけでなく、代行部分の財源にも含み損を抱えている状態だ。
 6割超の厚年基金は年金の運用利回り目標や給付利率について、足元の長期金利を大幅に上回る5.5%などの水準に設定。この水準を確保するため、株式や不動産などの運用比率を高めていた。昨年秋以降の金融危機に伴う株安で運用資産が大きく目減りし、運用目標との乖離が大きくなった。
 母体企業は掛け金を追加拠出して、積み立て不足を穴埋めする必要がある。追加拠出の拡大は企業業績を圧迫するため、企業が年金給付の切り下げを含む制度の見直しに動く可能性がある。複数の企業が加入する基金では、脱退企業が増えることも考えられる。
 厚労省もこうした財政実態を把握している。来週にも指針を作成し、運用や給付の見直しなどを盛り込んだ長期計画の提出を求める方針。強制力や罰則規定はないものの、同省としては異例の対応に踏み込む。
 同省は積み立て不足の穴埋めを2年間猶予する支援措置も打ち出しているが、適用を求める基金には改善計画の提出を義務づける構えだ。年金給付の減額など「痛み」を伴う改革を余儀なくされる基金が続出する可能性がある。(日本経済新聞 -労働問題-)

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