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賃金不払残業は196億円

2009年12月号より抜粋



  厚生労働省は10月22日、平成20年度に全国の労働基準監督署が是正指導した賃金不払残業(いわゆる「サービス残業」)の結果を公表しました。


  ○対象労働者数は前年より増加

 公表されたのは、平成20年度1年間で、賃金不払残業を是正指導され、1企業あたり100万円以上の割増賃金が支払われたものです。
 不況の影響か、企業数や金額は昨年よりもやや減っているものの対象となった労働者数は1,187人増加しています。業種別に見ると、企業数では「製造業」が最も多く、労働者数では「運輸交通業」、賃金額では「商業」が最多となっています。

  ○労働時間の適正把握を


 時間外労働については、タイムカードなどの記録の有無にかかわらず、実際の労働時間が問題となるため、労働者の使用するコンピューターのログイン記録などを労働基準監督署が確認し、是正指導をすることがあります。定時にタイムカードの打刻をさせていれば見つからない、というものではないのです。
 また、例えば毎月の残業時間に上限を設けていると、仕事が間に合わない場合に労働者が勝手に残業することがあります。このような場合でも、黙示の指示(暗黙のうちに指示していた)とみなされ、経営者が「知らなかった」では通らないこともあります。
 そこで厚生労働省は、平成13年に労働時間を適正に把握するための基準を定めています。ここでは、労働時間を適正に把握し適切に管理することが使用者の責務であるとし、始業・終業時刻の原則的な把握方法はタイムカード等の記録を基礎とすること、自己申告制による場合は次のような措置を講ずることなどを示しています。

①事前に労働者に十分な説明をおこなうこと
②実際の労働時間と合致しているか必要に応じ実態調査すること
③適正な申告を阻害する目的で時間外労働の上限を設けるなどをしないこと


 賃金不払残業のある企業では、多くの場合、同時に長時間労働の問題が存在します。労働者の健康に配慮することが、仕事の効率を確保することにもなるのです。

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