派遣法改正で18万人失職も
「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。」
リクルートワークス研究所が試算
民主、社民、国民新党が労働者派遣法の抜本改正で政策合意したのを受け、厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会がこのほど答申案を示すなど調整を続けている。3党合意通り法改正が行われた場合、何が起きるかをリクルートワークス研究所「派遣のあり方研究会」が各種調査やインタビューなどから推測した。
3党が合意した主な改正内容は、①日雇い派遣・スポット派遣の禁止②派遣会社に登録し、仕事がある時だけ働く「登録型派遣」の原則禁止③製造業派遣の原則禁止-など。労働政策審議会が示した答申案では、派遣されていない時期でも給料が保証される「常用型派遣」に限って認められる。
厚労省によれば、2008年6月現在の派遣労働者数は約202万人。このうち、「登録型派遣」は87万人、製造業派遣は56万人にのぼる。
同研究所の試算によれば、①の日雇い派遣・スポット派遣の禁止によって、対象者18万人のうち9.2万人が仕事を失う可能性がある。②の登録型派遣の原則禁止で、専門性のある26業種以外の業務に従事する24万人(製造業を除く)が禁止対象となれば11.2万人に失職の可能性がある。さらに、③の製造業派遣の原則禁止では、「常用型」以外の派遣労働者20万人が禁止対象となれば6.4万人が職を失う可能性があるという。
ただ、①は②③と対象者が重なっているので、実際には②と③とを合わせた18万人弱が仕事を失う可能性があるとしている。
法改正によって企業も大きな影響を受ける。とくに中小企業は、季節変動や業務の繁閑に対応することが難しくなり、人件費の固定化による経営の圧迫や、短期注文などの受注機会の喪失を心配する声が強い。即戦力となる人材を確保できるかどうかを懸念する声も少なくないという。(読売新聞-労働問題-)