セクハラ労災認定基準見直しへ
セクハラはストレスⅡ(中程度) 評価修正の具体例を明示
セクシャル・ハラスメント(以下「セクハラ」という)によって精神障害になった場合の労災認定基準作りを進めている厚生労働省の専門検討会が6月23日、報告書をまとめました。精神障害になった場合の労災認定については、セクハラに関する具体的な基準がなく判断が困難であったことから、判断基準に具体例を盛り込むよう求めています。
平成21年度に都道府県労働局の雇用均等室に寄せられた相談の過半数がセクハラに関するもので、その数は約1万2,000件にのぼっています。
セクハラを受けたことからうつ病などの精神障害になるケースも見られますが、セクハラによる労災認定(平成21年度)は4件にとどまっています。
労働基準監督署でセクハラの事実関係を調査することが難しいことや、明確な判断基準が示されていないことなどから、被害者が申請をためらい泣き寝入りするケースもあるようです。
労働基準監督署では、「職場における心理的負荷評価表」を使って、負荷の強度を判断しています。現在「セクハラを受けた」という出来事はひとくくりに「Ⅱ」と設定されています。特別の事情があれば監督署の判断で「Ⅲ」に修正できますが、その際の判断基準は、「セクハラの内容、程度」とあるだけで、被害者の精神的な負担の軽重を判断する手がかりが示されていないため、修正の判断が困難でした。
今回の報告書は、この認定基準に具体例を盛り込むよう求めたのが特徴です。
強姦や強制わいせつなどの被害にあった場合は、その出来事だけで労災認定できると例示しています。また、身体接触や性的な発言のみであっても、継続的に行われた場合や、会社が何も対応しなかった場合などは「Ⅱ」⇒「Ⅲ」に修正すべきとしています。
今後、厚生労働省は専門検討会での議論を経て、年内にも基準を見直す方針です。
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