個人請負・業務委託 実態は3割「労働者」 厚労省調査 雇用責任逃れも
個人との請負契約や業務委託契約を結んでいる企業のうち3割が、契約相手の企業に雇われる労働者と近い働き方をさせていることが、厚生労働省の調査で分かった。個人の裁量で仕事を進めることを認めず、毎日の定時出社を義務づけるなど、あいまいな働かせ方が目立った。
調査は民間の調査会社に委託し、個人請負や業務委託で働く人がいると答えた325社の回答を分析。「仕事の進め方に裁量権がない」「勤務地や時間が自由に決められない」など、請負・業務委託ではなく労働者に当たる恐れを強める七つの要素のうち、何項目に当てはまるかを集計した。
その結果、4項目以上に該当する企業が35.6%あった。これらの企業の中には、本来は労働者として雇うべきなのに、業務委託などとすることで雇用責任を免れている例があるとみられる。
仕事の進め方について「常に会社の指示を受けることが必要で、決められる範囲はほとんどない」という回答が7.1%、「決められる範囲が限られている」が16%と、個人請負や業務委託であることを疑わせる回答が目立った。
定時出社は37.5%が義務づけており、毎日の業務報告は40.3%が求めていた。報酬の決め方も、労働時間を最重視するという回答が8.6%あった。契約時に専門的な知識や技能を「全く重視しなかった」という企業は6.8%あった。
厚労省は有識者研究会で、業務委託のあり方について検討を進めている。近くまとまる報告書を受け、求人や契約時に、請負・業務委託か雇用かを明示し、報酬などの条件を書面で示すことを求めるガイドラインを作る方針だ。
■労働者である可能性を強める7項目
・報酬を決める際に労働時間を重視する
・働く場所は会社が指定する
・毎日決まった時間に出社させる
・仕事の進め方を決める裁量が限られる
・契約外の業務を行わせることがある
・業務委託で働く人に業務依頼を断られることがない
・業務委託で働く人の判断で、一部を他者に再委託するなどの行為は認めない
(朝日新聞ー労働問題ー)
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