従業員引き抜き 懲戒解雇は有効
有線放送業界2位の「キャンシステム」を突然退職し、業界最大手の「USEN」の関係会社に引き抜かれた元従業員約310人がキャン社に退職金の支払いを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。同社が不支給にした約290人の原告について、白石哲裁判長は「一斉退職・就労放棄は著しい背信的行為だ」として、懲戒解雇を有効と認め、請求を棄却した。(読売新聞ー労働問題ー)
土日休んだ秘書減給 労基法違反の疑い
民主党衆議院議員 1日2万円
民主党の衆議院議員が、土日祝日に地元秘書が休むと1日あたり2万円を減給していたことがわかった。労働基準法が認める減給額の範囲を超えており、同法違反の疑いがある。議員は25日、朝日新聞の取材に対し「業務を全くしていない秘書がいたのでやむを得ず取った措置だ。07年7~12月にやっていたが、現在はしていない」と答えた。
元秘書の一人によると、07年9月に議員から当時の秘書たちに減給の導入が伝えられた。参院選があった2カ月前の7月にさかのぼって適用され、12月に4万円を減給されるなど07年中に12万5千円を減らされた。
この元秘書の月給は20万円。労働条件通知書によると、週休は2日で、月の勤務日はおおむね20日間。国会議員の地元活動は週末が中心のため、議員からは「休みは原則、平日」と伝えられていた。
労基法は、減給制裁は、1回あたり平均賃金1日分の半額までと定めている。総額にも制限があり、月給制の場合、1カ月の減給総額は月給の10分の1を超えてはならないとされている。
元秘書の場合、2万円の減給は1回当たりの上限(約5千円)を超え、2回以上なら総額の上限(2万円)も超える。労働基準監督署によると、「労基法違反の可能性が高い」という。
一方で、議員は減給制度導入と同時に、休み返上で月に20日を超えて勤務した場合は1日につき1万円を支給していたが、労基法は、時間外勤務の場合25%以上、休日出勤の場合は35%以上の割増賃金を義務づけており、支給額はそれに満たなかった。
(朝日新聞 -労働問題-)
元上司に賠償命令 鳥取地裁米子支部
上司のパワハラでうつ病になり退職に追い込まれたとして、鳥取米子市の50代女性が、勤務先だった富国生命保険(東京)と元鳥取支社長らに5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鳥取地裁米子支部は21日、慰謝料など330万円の支払いを命じた。
村田龍平裁判官は判決理由で「女性のうつ病は上司の配慮を欠いた行為がきっかけで発症した」と認定したが、退職については因果関係を認めなかった。判決によると、上司の元鳥取支社長や元米子営業所長は2003年、ほかの社員がいる前で仕事上のことで女性を問いただすなどした。女性は同年7月、ストレス性うつ病と診断され、休職を経て、05年に自動退職となった。
原告の代理人弁護士は「直接の加害者だけでなく、職場環境の配慮義務違反を認めた判決だ」と評価。富国生命保険広報室は「判決文が届いておらず、コメントのしようがない」としている。(日経新聞ー労働問題ー)
09年厚労省調査 不況響き70%
景気低迷が高齢者雇用に影響を及ぼしている。
厚生労働省が20日まとめた60歳以上の雇用状況調査によると、定年齢到達予定者のうち「継続雇用」の割合(従業員51人以上)は2009年6月1日時点で70,4%と前年比2,9ポイント低下し、前年と比較可能な調査を始めた06年以降で過去最低となった。足元の収益悪化などから、雇用に慎重になっている企業が増えつつあるようだ。
継続雇用予定者数は29万7325人。前年に比べ1万8927人減った。雇用が継続されるかどうか「未定」と答えた企業従事者の割合は全体の9,0%と3,0ポイント上昇。厚生省は「景気後退の影響もあり得る」と指摘する。
一方、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は1,4ポイント上昇し、40,4%。60~64歳の常用労働者数は142万人と13万人増、65歳以上も54万人と5万人増えた。
06年の改正高年齢雇用安定法の施行で、国は企業に65歳まで働ける制度の導入を段階的に義務付けた。中小を中心に高齢者の業務経験を生かす動きがひろがっていることも常用労働者数の増加につながった。ただ企業の雇用調整圧力はなお強く、今後の景気動向次第では高齢者の雇用環境が悪化する可能性もある。
調査対象は従業員数が31人以上の企業13万6605社。前年までは51人以上の企業を対象にしていた。
(日経新聞ー労働問題ー)
介護職員の報酬増加分賃金に回らず
8月時点労組調べ
介護職員の労働組合「日本介護クラフトユニオン」は16日、2009年4月の介護報酬引き上げが職員の賃金に与えた影響についての調査結果を発表した。今年8月の正社員の平均月給は20万4085円と報酬引き上げ前の3月に比べ6475円増加にとどまった。前政権は「月給2万円増」との試算も出していたが、実際の賃金改善は小幅だった。
調査は介護職員約4千人を対象に8月に実施した。麻生前政権は人手不足が続く介護職員の確保を目的に今年4月に事業主に支払う介護報酬を3%引き上げた。事業者が増収分を全額、職員の賃金に回せは「1人当たり月給が2万円程度増える」とも試算。介護現場では期待感が高まっていた。
だが、今回の調査によると8月の月給は3月比で3,3%増にとどまった。介護事業者は赤字経営のところも多く、介護報酬の増額分の多くが経営改善のための資金に回った可能性がある。
前政権は介護報酬増に加えて職員の処遇改善を目的とした交付金事業も創設済みで、早ければ今月中に事業者に交付が始まる。ただ3年間の期間限定となっているため、期限が切れる12年度以降の財源を懸念する事業者が多く、申請率は全体の約半数にとどまっている。(読売新聞ー労働問題ー)
残業 「月20時間未満」48%
残業は減っているようです--------。転職サービスの「DODA(デューダ)」が、残業時間について、22~39歳の働く男女に聞いた。1か月間の平均残業時間で最も多かったのは「20時間未満」で全体の36,0%だった。また、「残業なし」は12,1%で、二つを足した「20時間に満たない」割合は、計48,1%と約半数に達した。
2007年の前回調査で「20時間に満たない」割合は42,0%で今回はそれを6,1ポイントも上回ったことになる。
景気低迷の影響で残業を減らした企業が増えたことや、「仕事と生活の調和」(ワークライフバランス)の推進が残業減につながったことなどが理由とみられる。
調査は4月に関東、関西、東海地区に住む正社員を対象にインターネットで行い、1218人が回答。9月に結果を公表した。(読売新聞 -労働問題-)
年金から住民税天引き
あすから開始 すでに苦情も
15日に支給される公的年金から住民税が天引きされる。今年度新たに導入されたもので、住民税の納付義務がある人に限られる。昨春、後期高齢者医療制度(後期医療)の保険料が天引きされた際は、高齢者が強く反発したことから、市町村は納付方法の変更の周知に力を入れるが、すでに苦情が寄せられている。
総務省によると、天引きが始まるのは公的年金受給者約2800万人のうち、2割強にあたる約650万人。これまでは口座引き落としなどで納付していたが、10月からは年金から天引きされる。
「後期医療で混乱したので、『とにかく広報をしっかりする』ことを最重視した」というのは名古屋市。1月以降、市内すべての老人クラブなどの会合に職員が出向いて説明し、市の広報に2度掲載した。市内11万人の対象者には6月の納税通知書にお知らせを同封、今月1日に改めてお知らせを郵送した。10月のお知らせを受け取って、「どういうことなのか」という問い合わせが増えたという。
長妻昭厚生労働相は13日の会見で、「我々鳩山政権としては、年金の信頼回復を、何としても実現する」と述べ、天引きに理解を求めた。(朝日新聞 ―労働問題―)
「期限切れ魚、刺し身に」克明メモ
流通業界大手イオングループ傘下のマックスバリュ東海(本社・静岡県長泉町)が運営する浜松市のスーパーが08年10月~09年1月、消費期限切れの鮮魚を、日付を改ざんして販売していたことが分かった。正社員である職場チーフ(責任者)の指示で改ざんを繰り返した実態を派遣社員がノートに記録し、退社後に告発した。同社は役員3人や販売に関与した社員ら計11人を降格や減棒などの社内処分にした。(朝日新聞 -労働問題-)