雇用維持のため、二〇〇八年十二月に中小企業を対象に導入された「緊急雇用安定助成金」の不正受給が増加している。
東京労働局が十二日に発表した七月分の企業数は、不正受給した企業名の公表が始まった昨年十一月以降で最多の九社。背景には景気低迷で企業の厳しい懐事情があるほか、震災関連業務で忙殺されていた同労働局がようやく調査業務に力を入れられるようになったことが大きいようだ。
東京労働局は今年二月、第一号となる不正受給企業二社を公表。その後、不正受給企業は毎月零~六社で推移していた。不正受給の総額も五百万~六千四百万円だったが、六月分は六社で三億一千万円に。十二日公表の七月分は、九社で一億三千九百万円に上った。
同事業は雇用を維持するため、従業員を休ませたり、教育訓練を行ったりした企業に国が賃金の一部を補助する制度。都内では〇九年度に九万件、一〇年度に八万七千件の助成金受給の届け出があり、本年度も七月末までに二万四千件余の届け出があった。
東京労働局では「申請企業すべてを訪問し実地調査する方針だが、震災関連の業務に追われたこともあり、実際には優先順位を付けて調査せざるを得ない」と話している。
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