残業時間を積み立てて休日と相殺できるか?
Q:残業時間を積み立てて8時間となった場合にその分を休日を与えて相殺することは違法か?
A:残業時間を積み立てて8時間になった為、1日休日を与えて残業時間と相殺することは違法。残業には残業手当を支払わなければならない。
Q:残業時間を積み立てて8時間となった場合にその分を休日を与えて相殺することは違法か?
A:残業時間を積み立てて8時間になった為、1日休日を与えて残業時間と相殺することは違法。残業には残業手当を支払わなければならない。
Q:要介護の親がいるのに転勤を命じられたら?
東京の電気メーカーに勤務する50代の男性会社員。会社から福岡支社への異動を打診されたが、同居する80歳の母の介護をしなければならない。
妻は専業主婦だが、母と折り合いが悪いので自分が世話をしたい。転勤を断れるだろうか?
A:会社側に配慮する義務
育児・介護休業法は、働く人が育児・介護と仕事を両立できるよう、休業や勤務時間短縮、深夜労働の制限など様々な方策を設けている。転勤についても「労働者の育児や介護の状況に配慮しなければならない」と事業主に義務付けている。具体的には、企業が転勤を命じる際には①従業員の育児・介護状況を把握する。②労働者本人の意向に配慮する。③育児・介護の代替え手段があるか確認する。- などを求めている。 同法は要介護の過程を抱える従業員について、転勤の禁止まで定めているわけではない。しかし、労働問題に詳しい石井妙子弁護士は「企業の配慮義務は重く、介護の問題を抱える労働者を本人の意向に反し転勤させるのは難しい」と指摘する。
「家庭」とは配偶者(内縁関係を含む)、父母、子、配偶者の父母ら。同居しているか、扶養しているかは問わない。また、祖父母や兄弟姉妹でも同居し、かつ扶養している場合は同法が適用される。 これらの家族が「常用介護を必要とする状態」である場合が対象だ。具体的には▽歩行、排泄、食事、入浴、着脱衣などの介助が必要 ▽攻撃的行為、自傷行為などの問題行動がある ー といった場合に要介護と見なされる。
育児休業は育児できる配偶者がいる場合は申請できない。しかし、介護の場合は配偶者の状態を問わず適用される。例えば配偶者が専業主婦でも、妻が夫の両親を介護すべきかどうかは家庭の事情や考え方によって異なる。妻が介護できるからといって夫からの申し出を断ることはできない。
既に多くの企業は従業員を転勤させるとき家庭の事情を考慮している。 「トラブルになりやすいのは会社と労働者の意思疎通が不十分なとき」(石井弁護士)。 まさか転勤は無いだろうと高をくくって家族の介護について会社側に話さないでいると、突然の転勤命令で慌てることになりかねない。 会社側も人事評価の面談などで、介護の必要な家族がいないか、転勤は可能かといった点を聞いて、日ごろから従業員の事情を把握する必要がある。(労働問題-日経新聞)
Q. 妻と共働きの20代の会社員。1歳の長男を自宅近くの保育園に自転車で送ってから最寄り駅に向かっている。ところが、長男を預けた後、交通事故に遭いけがをしてしまった。通常の通勤経路を外れているが、労災とみとめられるだろうか。
A. 保育園に入ることができない待機児童は増加傾向で、経済情勢の悪化や雇用不安などから、共働きを始める家庭も増えている。通勤時に子どもの送迎をしている親も少なくない。
労働者災害補償保険法(労災保険法)では、業務上だけでなく、通勤中のけがなども保険給付の対象をしている。「通勤」は「合理的な経路及び方法により行うこと」とされており、基本は住居と就業場所との往復。途中で経路を外れたり、通勤と関係のないことを行ったりした場合は「逸脱・中断」とみなされ、通勤途上とは認められない。
ただ、例外もある。経路上の店での雑誌の購入といった寄り道なら「逸脱・中断」とはみなされない。
また、厚生労働省の通達は「ほかに子どもを監護する者がいない共働き労働者が託児所などに預けるための経路は、就業のためにとらざるを得ない経路」としている。今回のような子どもの送迎は寄り道や遠回りにはあたらず、事故に遭っても労災と認められる。
ただ、妻が専業主婦などほかに子どもを送迎できる人がいると「合理的とみなすのは難しい」(厚労省労災補償部)。いつも送迎している人が病気などのため代わりに行った場合は「その日の状況で判断する」(同)としている。
経路を外れた場合でも、「日常生活上必要な行為」でやむを得ない理由があり、最小限であれば、「逸脱・中断」の間を除いて通勤と認められる。厚労省令では「日用品の購入」などを挙げている。
介護はどうなるか。2006年4月の大阪地裁判決は、介護のために養父宅に寄ってから帰宅する途中に事故に遭った男性について「近親者に対する介護で、日常生活上必要な行為をするために通勤経路を外れた」と指摘。「通勤途中の災害」と認めた。
労災問題に詳しい今津幸子弁護士は「自宅と職場の往復から外れた場合でも通勤と認められる例はある。ただ、子どもの送迎なら家族形態や保育所に立ち寄っていた時間、介護の場合は要介護度など、状況で判断が異なることもあり、注意が必要」と話している。(日経新聞-労働問題-)
Q: 出向中の身分はどうなるのか。賃金はどちらが支払うか。年休、退職金はどうなるか。
A: 出向中の労働者の身分は、出向元と出向先との両方にあることになる。賃金の支払方法については、両企業の出向契約(取り決め)による。年休、退職金の適用についても通算するのは当然である。
Q出向、配置転換、転勤、転籍、移籍出向は会社の命令でできるか。
A 出向、配置転換、転勤は、個別の労働者と特約のない限り、一般的には人事権の範疇に属することであるから可能である。ただし、転籍、移籍出向は労働関係(身分)そのものの変更であるから、労働者本人の同意がなければできない。(民法第625条第1項)なお、「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」による転籍は、一定の場合労働者本人の承諾がなくても可能である。
Q:派遣先から1ヵ月後に派遣契約をキャンセルする旨、通告がありました。当社としては大打撃ですが、相手先は「指針に基づく措置を講じたから」と取り付く島もありません。予告ですから当社は1円の賠償金も受け取れませんが、派遣先はそれ以上の責任を負わないのでしょうか?
A:次の就業先確保へ対処を
平成21年3月31日から適用されている派遣先・元指針では、契約キャンセル時の措置内容を強化しています。改正派遣先指針では、「①派遣契約の締結に当たって、派遣元事業主の休業手当、解雇予告手当等に相当する額以上の損害賠償を行うこと定める」、「②賠償の定めがないときも、生じた損害の賠償を行う」よう求めています。
今回キャンセルされたのが改正前の契約であっても、②に基づく対応が必要です(平21.3.31職発第0331010号)。「(実際に)生じた損害」に関しては、「休業させるときは休業手当以上、相当の猶予期間をもって解除予告がされなかったことによる解雇等の場合は30日分以上の賃金」などが具体例として示されています。お尋ねのケースでは、30日以上前(1ヵ月前)に契約解除の予告がなされているので、貴社は30日前の解雇予告が可能です。
しかし、派遣元指針では、「まず休業等を行い雇用の維持を図り、休業手当の支払責任を果たすこと。解雇しようとするときでも、労働契約法を遵守し、解雇予告等の責任を果たすこと」と規定しています。労働契約法によれば、解雇には「客観的・合理的な理由」(正社員等の解雇、台16条)、「やむを得ない事由」(期間契約途中の解雇、第17条)が必要です。派遣契約が解除されたかれといって、30日前に予告すれば自由に解雇できるもではありません。
派遣先が30日前に予告しても、派遣元の損害を100%カバーできないケースも想定されます。派遣先は「事前の申入れをしたから、後は我関せず」ではなく、派遣先指針に基づき、就業機会のあっせんや他の善後策を検討するなど誠意をもって対応すべきです。
しかし、派遣元としても、予告後の30日間を使って次の派遣先を探す等の対応ができるのですから、「30日経過後に生じた損害」を自動的に請求する権利はなく、派遣先指針でもそこまで規定していません。
Q:試用期間のかわりに、最初の契約を有期契約とし、その結果を見て正式雇用とする方法(トライアル雇用)はできるか?
A:試用期間満了時の解雇のトラブルを防止する手段として、「最初の契約を6か月間(又は1年間)」とし、その間社員としての適正を判断して、よければ本採用として改めて雇用するという方法(トライアル雇用=試行雇用契約)だと試用期間満了による解雇云々の問題は発生しない。
なお、試行雇用契約を行う場合、①試行雇用契約である旨 ②本契約をしない場合は、当然終了すること ③本採用の判断の基準を就業規則に明示するとともに、面接時、契約時、及び労働条件通知書において明らかにしておくことが重要。差別的な理由による本採用の拒否はできないことは当然である。
神戸弘陵学園高校事件では、最初の1年の有期契約期間満了により雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が無いときは、実質的には試用期間であると認められるとしている。もっともこの事件では理事長の「一応1年間」「30年でも40年でもがんばってくれ」「公立の試験を受けないでうちにきてくれ」などの発言があったとされる。
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Q:身元保証人が負うべき保証の範囲はどこまでか?
A:身元保証人が負うべき保証の範囲は、法律上の制限はないので、横領などの犯罪行為から事故によって会社に損害を与えた場合まで、契約書に記載してある範囲である。
ただし、連帯保証ではないので、身元保証人には催告の抗弁権(まず主たる債務者に請求してくれ)と検索の抗弁権(主たる債務者から回収してくれ)はある。
したがって、労働者に弁済能力がないときや消息が分からないときに請求できる。また、身元保証に関する法律第5条は、使用者の監督に関する過失の有無、身元保証人になった経過、労働者の任務または身上の変化(昇進や仕事内容、勤務地の変化など)、保証人の資力など一切の事情を考慮することとなっている。
損害賠償額はケースバイケースであるが、いずれにしても身元保証を行うときは、相当の覚悟をした上で行うことが必要である。
Q:改正労基法の「時間外労働が60時間を超えた場合」の解釈で、質問があります。時間外労働のカウントには、一般に休日労働時間数は含みません。「法定休日、法定外休日の違いに係わらず、3割5分増しの割増賃金を支払う」と定めた場合、法定外休日労働の取扱いはどうなるのでしょうか?
A:平成22年4月1日施行の改正労基法第37条第1項ただし書きでは、「延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた場合においては、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と規定しています。(中小企業は当分の間、適用猶予)
時間外・休日労働(36)協定では、「延長することができる時間数」と労働させることができる休日数」を別に定めます。 協定様式の記載心得では、休日欄に「労基法第35条の規程による休日であって労働させることができる日を記載する」よう注意を促しています。
ただし、「延長時間に休日における労働時間を含めて協定する」ことは可能とされています。(平11・1・29基発第45号)
時間外労働数と休日労働数を別に定めている場合、「休日労働に該当した労働時間の中に入れて計算することはない。ただし、ここでいう休日労働とは法定休日労働である」(安西愈「採用から退職までの法律f実務」)と解釈されます。
改正法により、時間外労働が60時間を越えると5割り増し以上の割増賃金の支払いが義務付けられます。法定外休日労働が発生した場合、「法定休日労働の3割5分増しの賃金を払う」ことで、時間外労働の一部を休日労働のカウントに含めることができれば、賃金負担を軽減できます。
しかし、解釈例規(平21・5・29基発第0529001号)では、「労基法第35条に規程する週1回または4週4日の休日(法定休日)以外の休日(所定休日)における労働は、それが法定労働時間を越える場合には時間外労働に該当するため、1ヶ月について60時間の算定対象に含めなければならない」とクギを指しています。
法定外の休日について3割5分増し以上の割増賃金を支払う」と協定で定めても、「法定休日」の日数は増えません。
Q:労働者の個人情報を、第三者から間接収集を行うことは禁止されているか。例えば、採用希望者の前職の会社の対して、勤務状況を問い合わせることができるか?
A:第三者からの間接収集を行うについて、法は特別な規制はしていない。しかし、その第三者、例えば前職の会社が当該労働者の同意なく当該労働者の勤務状況などを回答することは「本人の同意なき第三者提供」となり、個人情報保護法第23条第一項違反になる。したがって、前職の会社が回答する場合は採用希望者の同意書が必要になるので、採用予定者は採用希望者の同意書を添付して紹介しなければならないということになる。前職の会社は、このような照会があった場合、軽々に回答しないよう担当者にあらかじめ周知しておくことが重要。
Q:採用時点の契約で、「6か月後にはパートから正社員にする」「1年後には給料を上げる」という約束を、本人の勤務状況、能力がよくないという理由、あるいは経営状況がその後悪くなったため反故にできるか?
A:「勤務成績が著しく悪い」「試用期間を設けていれば試用期間の満了で解雇せざるを得ないような正当な事由がある場合」、あるいは「契約時点では予測不可能な経営上の事態が発生した場合」は、必ずしも契約違反とはならないだろう。
いずれにしても、将来の約束については、「~ことがある」という風にファジーな表現にしておいた方が無難である。
Q:当社では業績の悪化に伴い、今後退職勧奨を行おうかと考えています。できの悪い従業員だけ勧奨したいのですがトラブルは起こしたくありません。退職勧奨はどの程度のレベルまで許されるのでしょうか?
A:退職勧奨は、最終的には本人の任意の意思に基づいた退職とする必要があります。半強制的だったり執拗な勧奨は不当とされ、退職そのものが無効とされることもあります。
(解説) 退職勧奨は、いわゆる「肩たたき」と称され、以前から広く行われてきました。解雇では角が立つので形のうえでは任意退職にするという中間的な存在で、いかにも日本的な方法といえます。
実際の運用では、懲戒解雇に代わり温情的に任意退職とさせるもの、リストラの一環として行うもの、定年間近の削減策として行うもの等があります。完全に違法ですが、組合潰しとして行われることもあります。
Q:採用前に健康診断書を提出させ、特定の疾病にかかっているという理由で採用を拒否できるか?
A:労働安全衛生法では、会社に対して健康診断の実施義務や健康管理義務を課しているほか、一定の疾病になった者については就業を禁止しなければならないことも義務づけている。
したがって、疾病の状態により、労働契約の本旨に沿った労務の提供ができない場合は採用の拒否も可能と考えられる。(もちろん、差別的な意図によるものはこの限りではない。)三菱樹脂事件判決では、採用の自由の原則を示しており、また採用時健診の結果により不採用にした事件では「企業には~労働者を雇用する採用の自由が保障されているから採否の判断の資料を得るために、応募者に対する調査を行う自由が保障されているから採否の判断の資料を得るために、応募者に対する調査を行う自由が保障されているといえる。
~企業が、採用にあたり、労務提供を行いうる一定の身体的条件、能力を有するかを確認する目的で、応募者に対する健康診断を行うことは~その必要性を肯定できる」(東京地判平15.6.20国民金融公庫事件)としている。ただし、その健診(検査)が採否の資料のために本人に無断で行われた場合は違法になる。(同事件)
また、HIV検査等については、個人情報保護法に基づく「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」(平成16年10月29日付け、基発第1029009号)により「HIV感染症やB型肝炎等感染性の低い感染症情報や、色覚検査等の遺伝情報は、職業上の特別な必要性がある場合を除き、取得すべきでない」とされている。判例でも、千葉HIV解雇事件(瀧川化学工業事件)、警視庁HIV検査事件で、HIV無断検査を違法としている。
Q:会社の方針として、喫煙者は採用しないということが許されるか?あるいは、毎日飲酒する者は採用しないということが許されるか?
A:最高裁は、「企業者は、~契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる労働者を雇い入れるか、いかなる条件で雇うかについて、~原則として自由にこれを決定することができる」としており、採用の自由の原則を示している。したがって、喫煙者を採用するか否かは会社の自由であり、受動喫煙の問題や、健康増進法など昨今の喫煙に対する社会的通念に照らしても法的に許されないことはない。次に、飲酒の方であるが、これは若干疑義があるが、公共交通機関の乗務員等の募集については可能であろう。なぜなら、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上であれば酒気帯び運転となり、交通事故の危険性もある。ビール1本で0.15mgになるといわれており、飲酒後8時間経過しても血中アルコール濃度が必ず平常値に戻るとはいえないとされている。安全管理、リスク管理の観点から上記のような一定の配慮を要する業務については、可能であろう。
ただし、採用の自由があるといっても、生まれや門地による差別的なものなど、社会的に許されない理由によるものは許されない。
Q:就職する際に大学中退の経歴を高卒と偽って採用試験を受けていた30代男性。入社後に大学中退の経歴を隠していた事実が発覚。人事担当者から「就業規則違反で解雇処分に該当する」と言われた。全くウソの学歴を申告していたわけでもなく、解雇処分には納得できないと憤る。この場合、解雇は妥当か?
A:一般に採用試験の受験者は、学歴や職歴などを記載した履歴書を提出する必要がある。履歴書は能力や適正の判断材料になるので、正確に記載しなければならない。ところが「経歴ほどの実力がない」などの理由から、自らの学歴を低く申告するケースもある。志望者側が「高校を卒業したのは事実で、全くウソというわけではない」と考えがちなのも、こうした経歴の詐称につながっているようだ。学歴を高く詐称するのではなく、低く詐称するのならば問題はないのだろうか。労働法実務に詳しい嘉納英樹弁護士は、学歴を高く詐称するか低く詐称するかに関係なく、虚偽の学歴を申告する行為自体が問題と指摘。「最終学歴の詐称は重要な経歴詐称とみなされ、解雇処分になる可能性が高い」と話す。
公務執行妨害罪による逮捕をきっかけに、大学中退の最終学歴を高卒と偽っていた点が明らかになった社員の懲戒解雇の是非が争われた裁判で、東京高裁は1991年、「最終学歴は労働力評価や企業秩序の維持に関する事項であり、真実を申告する義務がある」との判断を示している。過去の裁判例をみる限り、最終学歴の詐称は重要な経歴の詐称に当たり、懲戒解雇になる可能性が高い。犯罪歴はどうか。東京高裁の懲戒解雇を巡る裁判では、社員が採用時に刑事裁判の公判中で保釈中であったことも明らかになった。
会社は「勤務への影響などを判断する必要があるから、刑事事件の公判中であることを会社に告知すべき義務があった」と主張したが、裁判所は「公判継続の事実について積極的に申告すべき義務があったといえない」と判示し、会社の主張を認めなかった。
採用ルールなどを定めた職業安定法は、採用目的に必要な範囲で求職者の個人情報を収集しなければならないと規定する。「犯罪歴は能力と適正と無関係。本籍や親の資産状況と同じように必ずしも申告しなくてもよい」(嘉納弁護士)が、学歴詐称は問題となるので注意したい。