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労働問題Q&Aの記事一覧

就業規則は、監督署に届け出て初めて有効になるのか。

Q: 就業規則は監督署に届け出て初めて有効になるのか。

A: 就業規則は監督署に届けて有効になるものではなく、労働者に周知して初めて有効になる。(最2小判平15.10.10フジ興産事件。)監督署に労働組合などから「組合の同意がないままに会社が就業規則を提出しようとしている。受理しないで欲しい」などの要請が来ることがあるが、労基法が就業規則を監督署に提出させているのは、法律違反の就業規則を作成しないように行政として監督する必要があることから求めているのであって、監督署の受理が就業規則の有効となる要件ではない。

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労働者から地方裁判所に「労働審判」の申し立てがあり、出頭しなかった場合不利益があるか

A労働局での「あっせん」が不調になったところ、労働者から地方裁判所に「労働審判」の申し立てがあった。出頭しなければならないか。出頭しなっかた場合不利益があるか。どのような制度か?


Q労働審判法(平成18年4月1日施行)による申し立てに対して、正当な理由がなく出頭しなければ5万円以下の過料。労働審判制度は、個別労働関係民事紛争について、まず調停を試みて、不調の場合実情を踏まえた解決案を審判(決定)として出す制度で、裁判官(審判官)と労使の専門家(審判員)の合計3名の合議制で行われる一種のADRである。原則3回で終了することになっているので、期間も最長4ヶ月程度である。審判に不服がなければ和解と同じ効力が発生するが、不服があるときは2週間以内に異議申し立てをすれば通常の裁判に移行する。労働審判の特徴として、訴訟費用が通常の裁判の半額であること、原則非公開であること、期間が短いことがあげられるので、今後増えていくものと思われる。ただし、男女差別、多数原告、就業規則の不利益変更など複雑な事案は、労働審判に向かないとされており、最初から通常裁判へ移行されるようである。

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労働局から、個別労働紛争にかかるあっせん開始の通知がきたが、応じなければならないか。

Q 労働局から、個別労働紛争にかかるあっせん開始の通知がきたが、応じなければならないか。?


A 平成13年10月に個別労働紛争解決促進法によりできた制度で、労基法などの法律違反にならない個別労働紛争問題について、労働者又は使用者から、「あっせん」又は、「助言・指導」を申し立てることが出来る。あっせんについては大学教授や弁護士等からなる紛争調整委員会が行い、助言・指導は労働局長が行う。いずれも、応じるか否かは任意であり、初めから断ることもできるし、あっせんが出てから断ることもできる。しかし、労働分野におけるADR(裁判外紛争処理制度)としては権威のあるものであり、紛争を早期に解決するためにも労使双方積極的に活用すべきものと思う。
 特に大きなメリットとして、①完全秘密であること、②無料であること、③裁判や調停に比べて事務手続きが非常に簡便であること、④短時間で決着すること(95%以上が3か月以内に決着)があげられる。特に、セクハラ事案や裁判によるイメ-ジダウンを受けるような事案については、完全秘密であることは有り難い制度である。ちなみに、平成17年度全国で助言、指導申し出件数が6.300件、あっせんによる解決率43%というのは、任意による解決制度としては労使と共に非常にメリットを感じている証拠と思われる。

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監督署からの是正勧告に従わない場合どうなるのか?異議申し立てることができるか?

Q:監督署から労働基準監督官が調査に来て、割増賃金の遡及支払いと機械設備の改善の「是正勧告書」を交付された。勧告に従わない場合どうなるのか?異議申し立てることができるか?

A:監督官の調査(監督署では、「臨検監督」と呼んでいる。)は労基法などに基づく立入権限によって行われている。そして、法違反などがあれば使用停止等命令書や是正勧告書、指導票を交付する。使用停止等命令は、設備などの使用の停止や改善の命令で、労働安全衛生法等に基づく行政命令であるから改善しなければ命令違反として送検される。
 是正勧告は、是正までの期間を猶予した勧告であり是正しなければ送検されることがある。行政命令ではなく行政上の勧告である。是正勧告に対して是正報告書の提出を求められるが、提出しない場合や虚偽の回答をした場合は法違反になる。指導票は法違反事項ではなく、通達やガイドラインの観点から望ましい実施事項を指導するもの。是正勧告、指導票は行政処分ではないので異議申し立てはできない。使用停止等命令については異議申し立て(正確には「審査請求」)できる。
 なお、労働基準監督官は立入権限を有するほか、単独で設備等の使用停止命令や、司法警察員として逮捕、捜索差押さえを含む捜査・送検などの権限を有している。

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経営状況が悪いため、身分の変更、所定労働日数(時間数)を減少させたいができるか?

Q:経営状況が悪いため、正社員からパート社員へ身分を変更するか、あるいは、所定労働日数(時間数)を減少させたいができるか?


A:就業規則等に、労働条件の変更、例えば「会社は、法令の改正、経済情勢、社内状況等によりやむを得ず労働条件を引き下げることがある」等の文言を明示するなど、条件が整わないとないと一方的には無理。結局は話し合いしか手はない。ただ、所定労働日数(時間数)の変更については、仕事の減少などの事由があれば合理性は担保できると思う。なお、所定労働日を変えないまま、仕事を休ませる場合には労基法第26条による休業手当の支払いが必要。

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経験を見て営業部長として雇ったが、思ったほど仕事ができないので、給料を下げたいが可能か?

Q:経験を見て営業部長として雇ったが、思ったほど仕事ができないので、給料を下げたいが可能か?

A:本人が了解すれば別だが、一方的にはできない。最初の契約時点で一定の条件(労働契約書等で当初半年間は一定金額を保障するが、その後は成績を見て80~120%の範囲で決定する、など)をつけて給料額を決めておくとか、契約年限を切った契約(試行雇用契約)にしておくとトラブル防止になる。
 厚生労働省が示している「労働条件通知書」はモデルであって、「様式」ではない。厳密にいうと、労基則第5条は、「賃金の決定、計算及び支払の方法~」となっており、「賃金の額」を明示しなければならないとはなっていない。

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適格退職年金制度(適年)が廃止されるため中小企業退職金共済(中退共)へ変更するときに掛け金を下げたいができるか?

Q:適格退職年金制度(適年)が廃止されるため中小企業退職金共済(中退共)へ変更するときに掛け金を下げたいができるか?

A:一方的な不利益変更はできない。社員との話し合いの結果又は合理的な理由により減額するとしても、中退共への変更時点までの退職金は労働者の債権として確定しているので保障しなければならない。

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退職金を減額することは許されるのか。どの程度までなら可能か?

Q退職金を減額することは許されるのか。どの程度までなら可能か?

 A懲戒解雇や諭旨解雇の場合、退職金規程に基準と限度を明確にしている場合は可能である。ただし、勤続年数、懲戒の理由などを総合的に見て、退職金を支払わない又は減額することが許されるほどの背信的行為があった場合に限るというのが判例・通説である。また、退職時の就業規則による事前の届出義務違反や引継を行わない場合の退職金の減額は、懲戒解雇や諭旨解雇の場合に比較して就業規則の違反の程度は低いから、せいぜい5~10%くらいまでなら可能ではなかろうか。

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退職金に関するQ&A

Q:退職後、社員証や健康保険証を返さない社員がいる。そこで、これらを返却するまで退職金を支払わないということはできるか?


A:退職金規程で、例えば、「退職金は、退職後2週間以内に支払う。ただし、社員証、健康保険証その他返却すべき書類等を返却しない場合は、その期間延長するものとする。」と規定すれば差し支えない。

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賞与の査定基準に、懲戒処分を勤務成績不良として査定の対象にできるか。二重処分にならないか。

Q.賞与の査定基準に、懲戒処分を勤務成績不良として査定の対象にできるか。二重処分にならないか。


A.懲戒処分を勤務成績不良として査定の対象にすることは差し支えない。二重処分にもならない。ただし、査定基準を明確にしておくことが必要だ。

賞与も労働基準法では賃金と解されていますので減給の制裁を行うことができます。ただし減給による制裁は、その内容について就業規則にて明確に定められていなければ実施できません。また「賃金」から減給する、と規定されていれば良いのですが、「給与」から減給と規定されているのであれば、効力が問われます。

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賞与の支払は支払日に在籍していることを条件にできるか?

Q.賞与の支払日に在籍していることを条件にできるか?


A.可能。ただし、就業規則等に「賞与は、支給日に在籍していない者については支払わない」などと明確に記載しておくことが重要。そうでないとトラブルの元となる。

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経営状況の悪化により賞与を支払わないこととすることが出来るか?

Q 経営状況が悪いので賞与を支払わないこととしたいができるか。

A 就業規則や労働協約で支払金額が定められていなければ、可能である。「会社の業績又は経済状況等により支給時季を延期し又は支給しないことがある。」のように、業績によっては支払わないことがある旨を明記しておくことが重要。


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月給制の欠勤等の控除はどうするか?

Q:月給制で、欠勤や遅刻・早退で賃金カットする場合、月の平均所定労働時間で割ることになるのか?


A:欠勤等の控除の計算方法は、
  ①月決め賃金÷1ヵ月平均所定労働日数(時間数)
  ②月決め賃金÷その月の所定労働日数(時間数)
の2つの方法がある。理論上は①が正しいが、②でも法違反にはならない。なぜなら、月によって金額が異なっても、年間ベースで見れば不公平はない。実際は②の方が計算しやすい。
 ここでは、基本給からの控除のみとした。他の月決めの手当を控除の対象賃金とすることも可能。

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時間外手当を支払う必要があるか?

Q:早朝ミーティング、始業前の店舗前の掃除、制服の着替え時間、昼の電話当番、交替勤務時の引き継ぎ時間(所定労働時間外の)に対して、時間外労働手当を支払う必要があるか?

A:習慣上義務化された早朝ミーティングは出席しないと業務に支障を来すものであれば、使用者の直接の支配化で行われるため労働時間となる。始業前の店舗の掃除、制服の着替え時間は義務づけられている場合は労働時間。昼の電話当番も制度的に行う場合は労働時間となる。交替勤務の所定労働時間前後の引継時間も労働時間もである。

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会社の指示による休日出勤について

Q:ボランティアとして会社の指示で休日に会社近くの公園の清掃を行わせた場合、休日出勤として取り扱うべきか?

A:公園の清掃の行為自体は、清掃作業費用を自治体から受領するのではないからボランティアに該当するとしても、清掃作業という労働そのものは会社の指示命令によるものであるから休日労働となる。

休日出勤の強制力は36協定が締結され、労働基準監督署へ届出されているこが前提となりますが、基本的に個々の労働契約や就業規則、労働協約の内容によって決まります。したがって、就業規則等において「業務の都合により所定労働時間外あるいは所定休日に労働を命じることがある」等の記載があれば業務命令として休日出勤を命ずることができ、従わない場合は業務命令違反として、懲戒処分を行うことも可能です。

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