前回は、「棚卸資産」をスリム化することを考えてみました。今回は「貸付金」です。
会社によっては仮払金などの勘定科目で残っていることもありますが、実質的には会社のお金を誰かが持っていったということです。
実はその犯人は社長ということも多いのですが、なかなか他の役員や経理担当者が口を出せない部分でもあり、うやむやになっていることが多い勘定科目です。経理を会計事務所任せにしているような場合は、社長の持ってきた領収書のうち経費にならないものをこっそり集計する科目になっているかもしれません。
また、社長への貸付金は税務上も原則として公定歩合プラス4%という商い率で利息を徴収しなければいけないため、節税の面からも改善したい項目です。
さらに、銀行借り入れがあれば決算書を銀行に見せることになると思います。この貸付金という科目があると、せっかく事業に使うということで会社に貸したお金が、なぜか別なところに流れてしまっているということがわかってしまいます。こういうことからも、印象が悪い科目の一つでもあります。
対策としては、①貸付金が生じた原因を探り新規の発生をストップさせます。そして、ひとまず出血が止まったところで②実際に貸付金を回収していきます。多くの場合、社長が使っているお金より役員報酬が安いことが原因です。ですから、社長の経費の使い方を細かく確認していきます。
無理に見えを張ったために出ている支出や、将来の収益に全く関係のない支出などは要注意です。交際費が年間600万円を超えている中小企業は、そもそも会社の経費にできなくなっていますので社長の役員報酬を増やしてその中から支出してもらうということも考えてみましょう。
次に、社長が持っている資産を時価で会社に売却できないかなども検討に値します。車や備品、担保価値の低い不動産などが狙い目です。子供の教育資金など一定の目的があれば、個人で低利のローンを組むこともできます。
また、生命保険などで解約返戻金があるものに個人で加入しているようであれば、契約者貸付を受けて余剰資金を会社に返済することもできます。
こういったことが難しそうであれば、役員報酬の支給時に貸付金を天引きして計画的に返済していくということも重要です。
社長への貸付金をコントロールすることでお金が増えるばかりか、税務上のリスクを減らしたり、銀行からの評価をあげたり、無駄な経費をカットする効果があります。
他人からは指摘しにくい事項なので、社長自らが努力していることを見せれば社員からの信頼も厚くなるかもしれませんね。
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