前回(7月9日付)は、固定資産台帳に載っているような有形固定資産を年に1回は見直してみましょうと提案しました。今回は、敷金や差入保証金という科目に焦点を当てます。
敷金は、事務所などの不動産物件を借りるときに貸し主に支払うものです。個人が家を借りるときも支払うことが多いので、会社も同じと考えてもらえばイメージはわきやすいと思います。敷金は、完全に貸し主の都合で預けさせられているお金です。その証拠に、物件から出ても修繕が終わるまで返されず、利息も全くもらえません。なかには、不動産業者から言われるままに家賃の10カ月分以上も預けて、そのままになっている会社も少なくありません。
一方、入居してから家賃の遅滞がなく何年も経過すれば、お互いに一定の信頼関係ができるので、さまざまな交渉の余地も出てきます。また、近年の不況に伴い、オフィスの空室率も上昇してきています。このような状況だと、近くの他の物件や、同じ物件の別のフロアは家賃が安かったり、敷金の金額が少なくなっていたりということも出てきます。貸し主としても、毎月きちんと家賃を支払ってくれる会社が急に出ていってしまうと資金繰りがきつくなってしまうので、ある程度の交渉余地があるはずです。
家賃の値下げになかなか応じなかった貸し主でも、敷金の一部を分割でもいいから返してほしいという条件ならば、比較的受け入れやすくなります。なぜなら、そもそも家賃を下げてしまえば、それに連動して敷金を返す必要が生じるし、敷金は自分のお金ではない預かり金なので、敷金を多少は返したところで損することにはならない場合が多いためです。
敷金は貸し主の都合で預けていると前述しましたが、万が一、貸し主の都合で入居物件が競売にかかってしまったとすると、入居者は新しいオーナーに敷金の返還要求ができません。民事再生法適用の場合でも、家賃の6カ月を超える部分は一定の不利益があるので注意が必要です。
物件の賃貸借以外で営業保証金を払うこともありますが、信頼関係ができたところで交渉していくことで多少なりとも返してもらえる場合が少なくありません。これも敷金と同じで、多少は返したところで損をすることにはならないためです。それよりも、よい取引でたくさん利益が出た方がお互いに都合がいいでしょう。
敷金や差入保証金は金額も大きく、ちょっとした交渉で会社の現金を増やすことができる科目なので、ぜひチャレンジしてみてください。一度は断られても、相手とよい関係を構築していれば何度でも交渉できますよ。
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