前回(7月16日付)は、資産の買い替えで会社の現預金を増やす方法を検討してみました。今回は、会社の現預金を維持する方法についても触れてみたいと思います。
せっかく資産を減らしたり見直したりして、会社の現預金を増やしたとしても、無駄遣いをしてしまえば何の意味もありません。会社の決算書上も一定の現預金を持っていないと安全性が低く見られてしまい、信用が低下しかねません。
また、予想外の損失が発生して急な出費が必要になれば、現金がなければ困ります。またとないビジネスチャンスがやってきたとしても、先立つもの(現金)がなければチャンスをつかむことができません。
そんなこともあり、多くの方に勧めているのが定期的な積み立てです。普通預金口座から自動的に積み立てられるようにしておけば、積み立てするのを忘れることはありません。また、毎月末日など決済が集中する前に引き落とされるようにしておけば、積み立てを欠かさすに継続できるでしょう。
注意しておきたいのは、積み立てたお金は何かのときに使うものであり、将来のチャンスをつかむためにためておくものだから、いざというときに何の気兼ねもなく引き出せなければいけません。もし、借り入れのある銀行で積み立てをしてしまうと、引き出す際に理由を聞かれたり、場合によっては別な積み立てを依頼されたりと、無言のプレッシャーを受けます。
また、万が一、借入金の返済が滞ったり、債権者から差し押さえを受けてしまったりすると、銀行は真っ先に預金と貸付金を相殺して回収してしまいます。借り入れ時の契約書をよく読めば、そのあたりの仕組みがわかるでしょう。そんなこともあり、できれば普段は取引のない銀行に積み立てておくのがベストです。
積み立てをしておけば、普通預金口座に必要以上にお金がたまって、気持ちが大きくなって変な投資をしてしまったり、コスト管理がルーズになってしまったりすることを防ぐことができます。税金を含めて、さまざまな支払いをする前に、まず"自分のための支払いをする習慣"をつけておけば、お金が自動的にたまっていくシステムを社内に構築することができます。ちなみに、この習慣は個人口座でも有効なので、活用してみてください。
話は変わりますが、私が税理士として会社を見る際に注意していることの一つとして、会社の資産として載っていない「見えない資産」があります。
たとえば、顧客リストや優秀な社員、効率的な業務システム、信用力やブランド、社会的な評判、そして社長の人柄などです。決算書上の資産は多ければ多いほど、お金が減ってしまいますが、「見えない資産」は多ければ多いほど会社にお金を運んできてくれます。こういったところに、経営資源を集中していくことが強い会社を作る秘訣かもしれません。
次回からは、負債に目を向けていきます。
若くてフットワークが良いスタッフを中心にお客様のサポートを行っています。 新しいことにどんどんチャレンジするスタッフが多く「それはできません」という仕事が少ないのが当社の特徴です。
弁護士や会計士、税理士、司法書士、社労士、中小企業診断士、行政書士、ファイナンシャルプランナーと社内にほとんどの専門家が常駐していることから、本当に必要なサービスを一ヶ所で受けることができる便利さが喜ばれています。