前回(7月30日付)は、「前受金」についてのお話でした。今回は「預り金」についてみていこうと思います。
預り金は、その名のとおり、お金を一時的に預っていることで発生する勘定科目です。大きなものでは、社会保険料、源泉所得税、住民税があります。今回は、これらを中心に検討していきます。
新入社員が入社して、社会保険料が給料から天引きされ始めるのは、入社した月の翌月に支給される給与からです。これは、前月分の社会保険料を当月支給の給与から徴収するという決まりになっているためです。
会社は、社員の給与から天引きで徴収した社会保険料を、会社負担分と合わせて社会保険事務所へ月末に納付します。このように、後払いになっていることから、最大30日近くの間、預り金が会社の負債に計上されます。
源泉所得税も給与から天引きされる税金の一つです。原則として、給与が支給されるときに預り、翌月10日までに納付するという決まりになっています。例外的に、従業員が9人までの会社などには、事前に届け出のうえ7月と1月の年2回にまとめて納付できる特例があります。1月10日の納付は正月明けで忙しいため、さらに1月20日まで待ってもらう、納期の特例者の特例という制度もあります。
住民税の特別徴収額についても、給与から天引きのうえ会社が納税します。仕組みは源泉所得税と似ていて、給与の支払い時に天引きのうえ翌月の10日までに納付します。これも従業員が9人までの会社には事前に届け出のうえ、6月と12月の年2回にまとめて納付する制度があります。ただ、源泉所得税と1カ月ずれる点に注意してください。
以上、3つの預り金を簡単にご説明しました。この預り金を最大限にする方法、言い換えると、できるだけ後で納付する方法は給与の支払日を毎月1日に設定することです。社会保険料が約30日後、源泉所得税と住民税は約40日後の納付になりますので、この間は預り金として会社の現預金が増えている状態になります。もちろん、源泉所得税と住民税について納期の特例が使える会社は届け出を忘れないことも重要です。
源泉所得税について付け加えると、税理士、公認会計士、社会保険労務士、弁護士、司法書士、経営コンサルタント、さらにはデザイナーの報酬、原稿料、講演料など一定の個人事業者に報酬を支払う際に源泉徴収をしなければいけないケースが多くあります。この支払いも、事前承諾を得たうえで毎月1日にできれば、約40日間は預り金として現預金が増えることになります。それらの報酬を多額に支払うときは、1日待ってもらうだけで大きな差が出ます。
また、支払日をすべて1日に設定しなければいけないというわけではなく、5日でも10日でもかまいません。支払日をできる限り月の前半にするのが、預り金を増やすポイントです。
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