前回(8月3日付)は、「預り金」をできるだけ長く会社に留めておくことがいかに有利かというお話でした。今回は、賞与や退職金などについて確認していこうと思います。
社員やアルバイトの給料は、毎月支払われるものに限りません。毎年一定額以上の賞与を出す会社も多いでしょうし、就業規則などで退職金を支払う約束をしている会社も多いと思います。これらは、労働の対価としていずれ支払わなければなりません。また、金額も合理的に見積もることができるので、支払時期が未確定とはいえ、本来ならば「引当金」という負債を計上しておかなければいけないものです。
しかし、実際の中小企業の貸借対照表に、これらの引当金がきちんと計上されていることはまれです。その理由は、「法人税」の仕組みにあります。
引当金は、費用の見積もり計上としての性格があり、あまり自由に費用計上を認めてしまうと納税額が少なくなってしまうため、これらの引当金を計上しても法人税が安くならないように調整されてしまいます。こんなこともあり、税金が安くならないのであればそもそも計上しないという中小企業も多いのです。
しかし、計上してあるかどうかにかかわらず、負債であることには違いないので、現金での支払いを待ってもらえるという効果は他の負債と全く同じです。固定で支払われる賞与や退職金には、もともと給料の後払いとしての性質があるので、多ければ多いほど、会社としては支払いを待ってもらっていることになるのです。
特に退職金は、社員が実際にもらうときに税制上の優遇があり、会社としても実際の退職日まで長期間にわたり資金を留保できるため、結果として多額の資金調達の役割を果たす場合があります。資金面での手当てがきちんとなされていれば、会社にとっても、社員にとっても、メリットが大きい制度なのです。
次に、近年注目を浴びているのが、有給休暇です。法律で権利として認められているため、社員が有給休暇を取得すると、他の社員が残業したり、代替要員を確保したりすることで損失が出ることが予想されます。その損失分を、会計上だけ引当金として負債に計上しておこうという考え方が出てきています。有給休暇は、事前に就業規則に制度を設ければ、5日を超える部分を会社が指定して計画的に取得してもらうことができ、「計画的にこの時期に取得してください」というような要請も可能です。
取得時期について、資金繰りが厳しくなるような時期をできるだけはずして、資金がたくさんある時期に取得してもらうようにすれば、それまで負債をためておくことができます。
このように、普段は見えていない負債まで含めて検討してみると、会社に資金を残すアイデアがいろいろと出てきます。
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