前回(9月3日付)は、顧客リストを作成し分析することで、どのような人たちが顧客なのかを知ることが重要だというお話でした。今回は、ある弁当屋の事例をみてみます。
この弁当屋はどこにでもあるような普通の仕出し弁当を扱い、味もたいしてうまいわけでもなく、とりたてて特徴のない弁当屋です。案の定、売り上げが振るわず、困っていました。
まずは、味を何とかしようと考えるのが常道でしょうが、この弁当屋は幸いなことに配達の関係もあり、顧客リストだけはきちんと作っていたので、さっそくリストを分析してみることになりました。
すると、何の脈絡もなく、多くの弁当が売れるときがあるではありませんか。よくよく担当者に聞いてみると、急に葬儀用の弁当の注文が大量に入っていました。理由は、いつも暇な当社ぐらいしか引き受けることができなかったためだろうということです。
同社はある地方で営業しています。その町でも弁当屋はたくさんありますが、葬儀専門の弁当屋などはありませんでした。ご多分に漏れず高齢化が進み、葬儀も比較的多かったのですが、他の弁当屋はそのニーズに応えられていなかったようです。
この弁当屋は、さっそく「葬儀専門の仕出し弁当屋」として売り出そうとチラシを作ったり、地元の葬儀屋や葬儀場ともタイアップしたりして、急なニーズにも応えられるように準備を整えました。もちろん、電話帳やホームページにも葬儀専門であることを明記して、葬儀のマナーや亡くなってから必要な手続きのチェックリストまで掲載するという徹底ぶりです。
葬儀のときに、普通の「仕出し弁当屋」と「葬儀専門の仕出し弁当屋」のどちらを選ぶかといえば、答えは明白です。そもそも、発注側が味にそれほど大きな期待をしていないことが多く、たいしてうまくもない弁当屋でも売り上げを大きく高めることに成功しました。
多くの会社は、既存の売り上げを失うことをおそれて専門特化する勇気を出せずにいます。そのため、一般大衆向けに幅広く効率の悪い広告宣伝をしなければいけません。この弁当屋は、たまたまあまり失うものがなかったこともあり、このような専門特化ができたという面もありますが、専門特化することで初めて顧客がどこにいるのかがよくわかるようになったのです。
葬儀でまず連絡するのは葬儀屋です。さまざまな準備で慌ただしい葬儀屋にとって、そのことを理解していて、注文すれば素早く弁当の準備をしてくれる顔なじみの仕出し弁当屋は頼もしい味方です。
仕出し弁当屋を探す遺族や、急な発注に悩む葬儀場にとっても同じです。顧客が必ず通る一点を押さえるだけで、かなりの発注をなかば自動的に受けるようになったわけです。
あなたの会社の顧客リストにも、このようなチャンスが隠れているかもしれませんよ。
若くてフットワークが良いスタッフを中心にお客様のサポートを行っています。 新しいことにどんどんチャレンジするスタッフが多く「それはできません」という仕事が少ないのが当社の特徴です。
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