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フジサンケイビジネスアイ 特別コラボ企画

【労務管理の落とし穴⑤ 試用期間中の解雇は自由ではない】

 新入社員の方にとっても中小企業の社長さんにとっても、試用期間と開いて、具体的にどんな期間なのかについて正しくイメージできる人は少ないようです。入社後は試用期間がつくが、試用期間だからといって具体的に何か変わるわけではない職場ではなおさらです。今日はその試用期間をめぐってトラブルに発展した事例です。

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 A社長「2カ月前に入社した新入社員のBですが、どうも私とウマがあわないようで、最近ではさっぱり口をきかないような状態です。これでは仕事にも支障が出てしまいます。試用期間中ですので、この際、解雇しようと思います」
 社労士「ちょっと待ってください。入社後14日を超えているのであれば解雇予告手当の支給が必要になりますし、解雇するには客観的かつ合理的な理由が必要ですよ。事前に試用期間中に解雇する場合の条件の合意があったり、就業規則に書いてあったりするというようなことはありますか」
 A社長「それがあれば苦労しないんですけどね。実はBさんは他の社員からはとてもかわいがられていて、他の社員への影書も心配なので先生に聞いてみたんですよ」
 試用期間は、社員としての適格があるかどうかを判定する「試みの勤務期間」として位置づけられ、「解約権留保付きの雇用契約」と考えられています。本採用拒否は「解約留保権の行使」に当たりますので、通常の解雇より広い範囲で解雇の自由が認められることになります。とはいえ、使用者は好き勝手に解雇できるわけではなく、解約権の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上も相当な場合のみ認められます。
 いくらBさんがA社長のいうことを聞かないからといっても、何か理由があるかもしれませんので、本人や他の社員を通じて理由を確認し、きちんと注意したり指導・教育したりするといった努力が必要になってくるわけです。

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 せっかく、縁あって入社した社員ですから、安易に解雇するのではなく、きちんとやるべきことをしなければいけません。それでもだめな場合だけ解雇するというような手順と意識がとても重要です。
 社長が簡単に社員を解雇してしまうようだと、それを見ている他の社員もビクビクして働かなければいけない事態になりかねませんので、他の社員への悪影響を最小限にするという観点から、誰が見ても仕方ないと思えるところまで努力することが重要です。
 A社長も、何か心当たりがあったみたいで、Bさんとは仲直りしたとか。
 ちなみに、試用期間は事前に定めたうえで合理的な理由があれば延長することが可能です。当初予定していた試用期間では社員の適性を見極めることができないとか、教育の効果を見てみたい-という場合に有効です。

アストラット株式会社

 若くてフットワークが良いスタッフを中心にお客様のサポートを行っています。 新しいことにどんどんチャレンジするスタッフが多く「それはできません」という仕事が少ないのが当社の特徴です。
 弁護士や会計士、税理士、司法書士、社労士、中小企業診断士、行政書士、ファイナンシャルプランナーと社内にほとんどの専門家が常駐していることから、本当に必要なサービスを一ヶ所で受けることができる便利さが喜ばれています。

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