東日本大震災で会社が直接の被災を免れたとしても、仕事量の減少や、資材の不足、計画停電などさまざまな影響が出てきています。そのような中で、会社はできる限り雇用を守る義務がありますので、社員に他の地区の営業所へ転勤を命じざるを得ないというケースも出てきます。
今日はそんな転勤命令が問題になったケースです。
A社長「震災の影響で仙台の仕事が減ってしまい、済まないが来週から福岡営業所に行ってもらいたい」
Bさん「急にそんなこと言われても困ります。山形や福島の営業所ならまだわかりますが、できたばかりの福岡となるとさすがに無理です」
A社長「就業規則や労働契約書にも他の営業所への転勤があることは書いてあるわけだし、会社として雇用を守るためには仕方ないんだ。理解してくれ」
Bさん「そう言われても困ります。しかも何で私なんですか...」
このように、なかなか納得してくれないBさんですが、よく話を聞いてみると、つきあい始めたばかりの彼女と遠距離恋愛になるのが嫌だということが本当の理由のようです。
全国に事業所を持つ会社に総合職として入社した場合、転勤命令の拒否が認められることは非常に少ないのが現状です。ましてや震災の影響で雇用を守るためという理由であればなおさらです。
転勤は社員の労働契約の重要な要素ですし、社員の生活に大きな影響を与えますので、会社の都合だけで一方的に転勤させるのは社員に酷のようにも思えますが、社員としても「特別な事情」がない限り拒否することは難しいと言わざるを得ません。
震災に限らず、事業所が縮小してしまったり、経済環境の変化に合わせて組織を変更したりというように、会社の組織は変わっていくのが当たり前になってきています。会社としても雇用を守るために、転勤などを含む社員の配置には幅広い裁量権が認められているのです。
「特別な事情」も病気の親を介護しなければならず、他に介護ができる家族もいないし、通院の関係でとうてい転勤先に選れて行くことができない場合など、かなり限定的に考えられています。
ただし、業務の必要性が全くないなどの不当な転勤命令、労働組合活動封じや差別など不当な目的で転勤させる場合などには無効になることもあります。
今回のケースではこのような無効になる原因もなく、「特別な事情」もないことから、転勤命令を拒否することは事実上困難と考えられます。
中には震災の影書が深刻で倒産の危機にひんしている会社もあり得ますが、その場合、転勤命令を拒否できる事由はさらに狭く考えます。会社としても雇用を守るためにできる限りの手を尽くすわけですから、全員が一丸となっての協力を求めることが可能になってくるわけです。
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