新入社員から突然質問を受けたりすることがあります。それが今まで当たり前だと思って考えたこともないことだったりすると、説明できずに言葉に詰まる先輩社員が出てきます。今日はそんな質問をきっかけに健康診断について考えてみようと思います。
先輩社員「そろそろ年1回の健康診断の時期ですので、この日にA病院で健康診断を受けてきてください」
新入社員「健康診断が苦手で受けたくないのですが、受けなければいけない決まりでもあるのですか」
先輩社員「みんな受けてますし、社会人なんだから、常識としてこのくらい当然です。それに自分のためなんだからちゃんと受けてください」
新入社員「健康に問題はありませんし、義務がないなら受けません」
いかがでしょうか。胃カメラの麻酔やバリウムで気持ち悪くなる、採血の注射がこわい、検便や検尿が恥ずかしい、仕事が忙しい、場合によっては身長や体重が会社にわかってしまうのが嫌だ-とさまざまな理由で健康診断を受けたくないと言い出す社員が出てくることがあります。
無料で健康診断が受けられるチャンスと受け取ってもらえば社員にも一定のメリットがあるのでしょうが、できることなら避けたいと考える社員もいるのが普通かもしれません。
地方、会社は「安全配慮義務」を負っていますので、労働者が安全に働ける環境を整備しなければいけません。例えば、持病で体が弱いことが事前にわかっている社員を、高温多湿の過酷な環境で長時間働かせるようなことをしてはいけないわけです。その前提として会社は、社員の健康状態について一定の情報がなければこのように義務を果たすことは困難になります。
そこで、労働安全衛生法という法律があり、会社に健康診断を行う義務(66条1項)を課す一方で、社員にも定期的に健康診断を受ける義務を課しています(66条5項)。
したがって社員は健康診断を受けなければいけないことは間違いありません。しかし、社員が健康診断を受けなかったからといって、法律上罰則があるわけではありませんので、残念ながら開き直られてしまえばそれまでです。
このような場合、就業規則に健康診断を受ける義務を明示しておき、従わない場合は懲戒処分もあり得る旨の定めをしておくことで一定の強制力を持たせることが考えられます。
通常ここまでしておけば問題になることはありませんが、仮にどうしても嫌だといわれた場合はどうしますか?
それでも、会社はあきらめてはいけないのです。きちんと健康診断を受けるよう何度も命令を出し、記録に残しておくべきです。もし、労働災害が起こったときに、何もしていなかったでは会社の責任問題になってしまいます。受診を命じた事実は、少なくとも「過失相殺」の判断材料になりますので、全くの無駄ではないのです。
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