きちんとした給料をもらっていたとしても、さまざまなイベントが重なると思わぬ出費がかさむものです。そういったときに軽い気持ちで借金をしてしまい、その簡単さに釣られてついつい借金が膨らんでいく方が出てくることがあります。今回はそんな社員が会社で問題になったケースです。
社長「先生、先日裁判所から差し押さえの通知が送られてきまして、社員の給与の一部を毎月法務局に供託することになりました。やはりこれには従わないといけないのですかね?」
社労士「はい、従わないといけません」
社長「この社員、営業担当者なのですが、こんなだらしない社員をお客さまと接する仕事を任せて大丈夫なのかと考え始めまして、先日、これからどうするつもりなんだ、と問い詰めてみたのです。そうしたところ、営業をがんばって、早く借金を返済すればいいんですよね。といった感じで、会社に迷惑をかけているという意識や反省の気持ちはないようです。それでカチンと来てしまいまして...」
社労士「まさかその場でクビだとか言ってしまったのですか?」
社長「いえ、そこで先生の顔が思い浮かびまして、何とか思いとどまってご連絡差し上げた次第です」
社労士「現在のところ、会社に損害を与えたとか、督促が厳しすぎて仕事にならないというような話はないわけですよね」
社長「はい。勤務成績は特に問題ありませんし、顧客からのクレームもありません。督促もたまにあった程度で仕事に支障が出るほどではありません。でも、会社には供託のコストが発生しますし、反省していないのが社会人としてどうかと...」
社労士「すでにお気づきのとおり、その程度の理由だと解雇は無理ですので、思いとどまって正解です」
いかがでしたでしょうか。裁判で勝訴判決を取った後の強制執行の一形態として、給与の差し押さえが行われることがあります。サラリーマンなど安定的な収入がある方であれば有効な手段になりますし、多くの方は会社への発覚を恐れて、早めに支払ってくれることが多いようです。しかし、今回のケースは、本当にお金がないのか、実際に給与の差し押さえがされてしまったわけです。会社に実害が発生していない以上、あくまで個人的な問題の域を出ませんし、供託のコストについても、会社は裁判所の命令に従う義務があるから発生するというだけです。
例えば、返済に困ってお客さまからの入金に手を付けてしまったとか、勝手に値引きに応じて会社に内緒でバックマージンをもらうような犯罪行為があれば解雇は可能でしょうし、その可能性が客観的に見て高いのであれば、お金を扱わない職種への配置転換も考えられます。今回はそのような事実もないわけで、会社としては粛々と事務的に進める他ありません。
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