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【労務管理の落し穴(48) 秘書は社長の愛人?】

 社長たるもの社員の模範となるよう努力しなければならないのですが、一部の企業には困った社長がいるのも事実です。本来であれば取締役や監査役が苦言を呈するべきなのですが、過去にそれが原因でクビになった人がいたりすると、あえて文句を言う人は誰もいなくなってしまいます。
 社長本人は、誰にも気づかれていないと思っているようですが、四六時中秘書と一緒で、仕事の受け答えなどを見ても、社長と部下の関係には見えないということがあります。当然社内ではうわさになり、これを聞いて自分たちがせっかくがんばってもこのような公私混同にお金が消えてしまうとあっては、社員の不満もたまり、モチベーションが大きく下がってしまいます。今回はそれが爆発してしまったケースです。

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 社員A「とうとうやってやりましたよ。ネット上に社長が愛人を秘書にして毎日いちゃいちゃしていることを写真付きで暴露しちゃいました」
 社員B「これですっきり。社員みんなのためにもなるってもんだ。これが明るみに出れば社長も改めざるを得ないな。でもAがクビになったら、しゃれにならないじゃない?」
 社員A「こんないいことをした人は公益通報者保護法というので保護されるらしいし大丈夫さ」
 社員B「おまえは英雄だな!」
 いかがでしょうか。以前も少し公益通報者保護法を取り上げましたが、この法律、実はかなり厳しい要件がありますので、保護されると思ってついうっかり外部に内部告発などしようものなら、かえって通報者自身が訴えられかねない危険があります。
 実は、通報対象事実は「犯罪」でなければいけません。しかも、対象となる法律は限定列挙されていますので、よく調べてからでないと危険です。

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 当然、刑法や会社法などは対象になっていますが、今回のケースでは、「社長が愛人を秘書にして、いちゃいちゃしている」ということで、公私混同で非難されるかもしれませんが、そもそも犯罪に該当するのでしょうか。もちろん秘書はそれなりに仕事をしているわけで、多少いちゃいちゃした事実があったとしても社長の機嫌をとるのも秘書の重要な役目といわれればそれまでです。秘書として雇っていることが「犯罪」とまではいえません。
 また、会社の内部に通報する段階では保護される要件はそれほど重くはないのですが、外部に通報する際はかなり厳しくなります。例えば、人の生命・身体への危害が発生する急迫した危険があること-などです。
 会社の外部に通報することは、その情報が間違っていた場合、下手をすると会社がつぶれかねない重大な信用失墜になります。ちょっとした正義心があだになり、周りの社員の職場がなくなってしまうといった事態にならないよう十分気をつけましょう。今回の書き込みは即刻削除すべきですね。

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