介護保険と社会保険の狭間で
今回は大学時代の友人が体験した病院での出来事です。
介護施設に入所している友人の父親が腰の痛みを訴えだしたので、病院に連れて行ったそうです。元々体を壊すきっかけになったのが頚椎症だったので、加齢による腰痛なのか痛みの原因を探るべく病院で診てもらいました。
病院は2年振りでしたので予約したものの新患扱い。医師の診察→レントゲン撮影→医師の診察と、なんと5時間にも達する長丁場だったそうです。
友人はこれが大学病院の実態なんだなと現場を改めて認識するとともに、父親を5時間も車椅子に乗せ続けたことに申し訳ない気持ちでいっぱいだったとのこと。
ましてこの5時間で終わるわけではなく、次回はMRI、そして日を改めてひと月後の結果診断でやっと所見を得られる予定だそうです。
この日は痛み止めとしての医師に薬の処方箋を書いてもらい、あとは調剤薬局に行くだけだと思っていたら、入所している人間は施設で出してもらうので処方箋を受け取れないとのこと。
処方箋を調剤薬局に持っていかず、施設に持ち帰ればと安易に考えていたところ、施設宛の説明書が病院から送られるので受け取った処方箋は受け取らずに返してほしいと言われたそうです。
どうやら友人は介護保険制度と健康保険制度の境目に自分は振り回されているようでした。
大きな目でみると介護保険制度は社会保険制度のひとつになるわけですが、これがとても分りづらいものです(社会保険そのものも決して分かりやすいもではありませんが・・・)。
たしかに社会保険のプロ=社会保険労務士とイメージできるのですが、その資格試験において介護保険制度は単独の試験科目にはなっていないので社会保険労務士の先生方も介護保険をマスターしている方々は少なく、介護制度においてはケアマネージャーやソーシャルワーカーの方々の方が専門性を持ち頼りになる分野でもあります。
一方、生命保険の営業は死亡リスクと医療リスクを保険商品とし一生懸命説明しますが、加えて介護リスクへの備え、それ以上に要介護の親を抱えた際のアドバイス、自分が介護される側になるリスクへの備えもアドバイスできる人材は貴重だと認識した一場面でした。
(法人コンサルティング部 吉田孝史)