事例に学ぶ、長期無断欠勤社員の対処法
こんにちは!社会保険労務士の吉永晋治です。じめじめした日が続きますが、如何お過ごしでしょうか?
今回は「長期無断欠勤社員の対処法」についてお話したいと思います。
先日、A社の社長から「事務部門を任せるために管理職として採用した男性社員がいたのだが、ある日体調不良とのことで休みの届け出があり、風邪でもひいたんだろうと思っていたら一週間過ぎても出社して来ない。心配になって電話・メールなどで連絡しても連絡がとれず、このままじゃいけないと思いつつ、日々の業務に追われ1ヶ月が経ってしまったのだがどうしたらよいのでしょう?」という相談がありました。
社員が長期の無断欠勤をした場合、会社としての正しい対処をお話します。
基本的に長期の無断欠勤が続いた場合はほとんどの経営者が会社を辞めてもらうことを考えるわけですが、後々不当解雇の訴えなどの労務トラブルを避けるためには、まず就業規則に無断欠勤について自然退職とする旨の明示が必要です。
例えば「無断欠勤が14日以上に及んだときは自主退職もしくは懲戒処分にする」など具体的に明示し、その上で会社として適正なプロセスを踏んだことを形に残しましょう。
具体的には電話やメール、または自宅訪問をした日時を記録に残すこと、そして会社として連絡が欲しいことやこのままの状態が続くと自主退社と看做さざるを得ないことなどを配達記録郵便で送付し、控えをとっておくことが最低限必要です。
また身元保証人をとっている場合は身元保証人に連絡することも大切です。
なぜ無断欠勤の社員にここまで労力をかけるかというと、後になって不当解雇などの労務トラブルになった時に会社を守るためです。こと「解雇」については会社はそのプロセスに幅広い注意が必要になってきます。
極端な例を挙げると1年間に欠勤・遅刻が100日以上のあったケースでも会社が制裁措置をとって警告した事実がないとして解雇無効になった判例もあるくらいです。
ですから無断欠勤についても適正に処分するためには就業規則の明示と会社としての解雇を避けるための努力をしっかり形に残す必要があります。
面倒に感じられるかもしれませんが、労務トラブルになればもっと面倒です。
ないにこしたことはありませんが、こういった事態も想定して予防措置をとることも今の会社経営には必要だと思います。
まずは御社の就業規則を確認してみてください。
(法人コンサルティング部・社会保険労務士 吉永晋治)