事業保障保険に潜む落とし穴
オーナー経営者であれば企業が成長、安定する過程で「企業を契約者」とする生命保険に加入されるのではないでしょうか。
しかし保険会社の担当者とは「保険の話」はしても自分に万一があった後の姿についてじっくり話をした経験がないと聞きます。
オーナー経営者に万が一のことがあったらどうなるのでしょうか?
保険会社の保険営業資料では「従業員の給与確保」「借入金返済対策」「退職金確保」を保険加入の主な理由にしています。
では実際オーナー経営者の「事業保障」をどのように捉えれば良いのでしょうか?
もし万が一のことがあったら「売上減収」「社員の志気」「銀行の対応」「取引先の信用不安」「自社株の買取り」「企業解散」「家族の生活」「自社株相続税対策」「幹部の退職」「借入金返済」「資本参加している企業の取引判断」など様々です。
特に隠れた不安としては「個人保証」が残った家族の生活です。実はオーナー経営者が借入金返済のために保険に加入しても、その目的が達せられないケースがあります。
それは法人を契約者とする生命保険の受取人は法人だからです。「法人=次の代表取締役」が受取人になる訳ですね。
意外にここが盲点になります。
次の経営を親族、家族が引き継がない場合、新たな経営陣が財務戦略のための経営判断として法人が受け取った先代の生命保険金を借入金返済に充てず、他の目的に充てるケースも出てきます。
また経営者保険に加入していてもその目的を明確にせず、漠然と1億円の保障という形で加入していることが多いですね。
この保険金は退職金なのか、借入れ返済なのか目的、使途、意思を後継者に繋ぐことが必要になります。
ここまでお話をすると現経営者としては、そのリスク回避のためには保険とは別に後継者探しが必要であり、現社長の意思を継ぐ人間を育てることが必要ということに辿り着くのではないでしょうか。
◎筆者の吉田が経営者保険について動画で解説!
1.中小企業における法人保険の考え方
2.中小企業における経営者保険の落とし穴
3.従業員保険での無駄の見つけ方
(法人コンサルティング部 吉田孝史)